溺愛される鬼少女② (ページ41)

今日:3 hit、昨日:4 hit、合計:125,606 hit

大切な手紙ページ41

天元 side

「…天元様」

最近嫁達が俺を心配そうに見る。
なんだってんだ。俺はAひとり失ったって変わりはしねえよ。

「部屋を片付ける」

そう3人に言って部屋に戻った。

派手に散らかってんな…
最近は任務でも失敗が多いから体が疲れてんだろう。

「…これは」

綺麗にされた箱。
…綺麗にしまわれた中身はAからの手紙。

ああ、そうだったな。
俺はAからの手紙を捨てたことはない。

・

「天元さん。文通しませんか」

「どうした、急に」

蝶屋敷にずっといるから暇なんだろう。
人に見られてはいけないし。

たまたま蝶屋敷に来てた俺にそう言った。

「とにかく、文通してみたいんです」

「いいけどよ」

そう言うと幸せそうに笑った。

「私から送りますから楽しみにしててください！」

「じゃあお前の手紙全部集めてやるよ」

鬼なのに普通の人間みたいで。
文字は綺麗だったしちゃんとしてた。

俺は言葉に出来ない悩みも手紙でなら書けた。

「天元さん…！」

いつだったか、俺が忍びだった過去を明かし、
その全てを手紙に書いた。

"俺は生きていていいのか"

弱気になってそう書いた。

「A…どうしたんだ」

驚いた。
雨の中Aは屋敷へ来たんだ。

「天元さんは悪くない！だから…！」

涙ながらに途切れ途切れ話してた。

「生きていていいんです」

優しすぎると思った。
俺の弱音の返事をわざわざ伝えにきたのか。

「…わざわざありがとな」

「すみません、言葉にしたくて…」

急に恥ずかしくなったのか顔を赤くするAがどうしようもなく愛おしく感じた。

「お前のためにも俺は生きるぜ」

「ふふ、派手に生きてください！」

「任せろ！」

・

「天元様、お茶です」

「…なあ。雛鶴」

「はい？」

手紙を入れた箱をしまう。

「俺、彩に話つけてくるわ」

「…わかりました」

不安そうに下を向く雛鶴の頭に手を置く。

「あいつにAは俺たちの大切な人間だって分からせてやるよ」

俺の言葉を聞いて雛鶴は顔を上げて笑った。

「夕飯までに帰ってきてください」

「わかってるよ」