溺愛される鬼少女② (ページ38)

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甘味処の幸せページ38

蜜璃 side

「あ、蜜璃さん」

「…A、ちゃん」

Aちゃんと会うのは気まずい。
この子は悪い子じゃないって分かってるのに…彩ちゃんに言われたの。

幸月Aの企みは鬼殺隊を壊す事だって。

「珍しいですね。ここの甘味処に来るなんて」

鬼殺隊は私の居場所なの。

「そ、そうね…」

壊されたくないの。絶対。

「…じゃあ、私は失礼しますね」

ここの甘味処はAちゃんの行きつけ。
前にふたりで来たことがある…

私はどうしてここに来たの？
自然に足がここまで来たんじゃないの？

・

「蜜璃さん！美味しい甘味処を見つけたんです。一緒に行きませんか？」

しのぶちゃんに手当てをしてもらった後、Aちゃんに誘われた。

この日が初めて一緒に出かけた日。

「いいわよ！ぜひ行きましょう！」

そして連れて来られたのは小さな甘味処。
中は綺麗でお洒落。

「どうして私を誘ってくれたの？」

ふっとそう聞いてみた。

「蜜璃さんと仲良くなりたくて…」

恥ずかしそうにそう言ったAちゃん。

「ふふ、可愛いわ」

「もう、からかわないでください」

「本当よ？ふふ。ありがとうね」

この子は本当に可愛いわ。

「そう言えば、この前、他の隊士さんから蜜璃さんはどうして鬼殺隊に入った理由聞いちゃいました」

「…え？」

なんだか気まずい。
Aちゃんは家族を鬼に殺されたって聞いた。

軽蔑されちゃうかもしれない。
嫌な気分にさせちゃったかもしれない。

「良い案だなって思いました！私も見つけます。添い遂げる人！」

「へ？」

思わず変な声が出ちゃった。
今までそんなの言われた事なかったもの…

「…私のこと、変だと思わないの？」

「？…どうしてですか？命をかけて戦う人ってかっこいいじゃないですか」

もちろん平和なのが一番ですけどね。と言ってAちゃんは笑った。

「蜜璃さんも命をかけて人を守ってるんですから、かっこいいです」

・

「まって、Aちゃん！一緒にお団子食べない？」

「蜜璃さん…」

この子を疑ってはいけない。
信じたい。

私の大切な友達だもの。

「はいっ！」