溺愛される鬼少女② (ページ14)

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柱たちの心⑦ ページ14

今日はしのぶさんに頼まれて風邪を引いたらしい玄弥の薬を持ってきた。

…なんだこの山。
疲れた、いいところに岩があるから休もう。

「ふう」

岩に背中を預けて座る。

そう言えば蜜璃さんから手紙が届いた。
出すのを忘れてたらしい。蜜璃さんらしいな…

実弥さんは大人しく寝てたみたい。

無一郎くんはよく分からなかったなあ。

杏寿郎さんも結局何が言いたかったんだろう。

「昨日は大変な一日だったわ…」

今日も大変になりそう。
いやもうすでにこの山を登るのが大変だった。

「南無阿弥陀…」

ズズッ

「え？なっ、わあっ」

呑気に昨日の事を考えてると岩が動き出してびっくり。

「何をしにきた…鬼の子供…」

「あ、悲鳴嶼さん。お久しぶりです」

鬼、鬼。言われすぎて慣れた。
今ではもう彩さんの力ってすごいな、なんて感心する。

「用がないなら帰れ…」

「玄弥に薬を持って来たんです。みんな忙しくて手が離せないんで私が」

「…お前を信用出来ない」

いや、毒なんて盛ってねーよ。
って言いたかったけど黙っとくね。

「大丈夫ですよ。玄弥に恨みなんてありません」

「私は何を信用するべきか…」

相変わらずジャリジャリしてるなあ。
だんだん悲しさなんて無くなってくる。

たぶん、しのぶさんや私を信用してくれる人のおかげだと思う。

「ありますよね、そう言う時。一気にたくさんの情報が入ってくると困りますもん。悲鳴嶼さんが信用したいものを信用すればいいと思います」

例え、みんなが私を信用してくれなくて
私がこの世で独りぼっちになっても…いや、なりたくないけど。

私はみんなを信用すると思う。

「ああ、哀れな…」

「薬、置いていきます」

悲鳴嶼さんの岩の上に薬を置く。
きっと信用してもらえると信じよう。

私は昔から人をすぐ信じちゃう。
疑いたくない。

生きてる限りみんなにそれぞれの事情があって、
誰もが苦しんでる。

「…お腹空いた」

それにしてもこの山降りるのも大変だわ。
雰囲気ぶち壊し。

悪いだけの人なんていないと思うんだよね。
たぶんね。