07 ページ28
〜
「影山さんは馬鹿なんですか!!?」
「お前……もうちょっと言い方気をつけろ」
「ふざけないでくださいっ!!」
昨晩、何を思ってか急に私と影山さんの所にやって来た岩泉さんは、変な伝言を残して城から姿を消していた。
「あー……まあ色々大変だと思うけど、お前ら頑張れよ」
「……どういうことっスか」
「ま、信頼できる相手がいるのが大事だな」
「意味がわからないんですけど……」
ぽん、と私ら二人の肩に手を置いてから、重そうな剣を担いで部屋から出て行った。
その岩泉さんが今朝になってどこにもいないという。しかも部屋には「そろそろしお時だと思う 岩泉」という書き置きを残して。
及川さんは重要な側近に消えられてパニック。「とりあえず動けるやつ動いて!! 岩ちゃんいたら連れ戻して!!」と岩泉さんでなくても逃げたくなるような慌てっぷりだった。
――そして、昼になって、その「逃げ出したい」がどうやら冗談でなくなろうとしている。
「本当馬鹿……」
「馬鹿馬鹿言うのやめろ」
「だって、影山さん、もうここにいられないかもしれないんですよ……？」
声が自ずと震えていた。
つい2、3時間前、大混乱の城のできるだけ隅っこを歩いていた時、国見さんに呼び止められたのだ。
「もう決まったから。早いとこAもどうするか決めて」と。
決まった、何が？ そんなの他にない。要は、その混乱に乗じて、「厄介払い」をするつもりなのだ。
知っているのかいないのか、影山さんは荷造りを進めているし。
「まだ遅くないです、今からだって間に合います」
「じゃあどうしろって？」
「私が何とかします。何だってやります。だから、だから影山さんお願いです、まだ待ってください……」
夜になる前に。誰かに話をつけよう。国見さんは無理だとしても、金田一さんだったら、他の誰か一人にでも、話ができたら――
「……A」
はい。この人に名前を呼ばれると、どうしても返事をしなければいけない気になる。わかってる。私の最大の弱味は、きっとこの人なんだって。
「お前、何でいつもそんなに必死なんだよ」
「……何にですか」
「…………俺に」
ふてくされているような声。もうちょっと言葉を何とかできないものかなぁ。すっごい図々しい口調みたいに聞こえる。
「入隊の時とか、試験とか、今回のこととか」
「…………そんなの、決まってるじゃないですか……」
「だから何だよ」
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 9人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「ハイキュー」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：スマトラ島のラフレシア | 作成日時：2016年9月18日 18時
