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足首に青根さんが摘んできたという薬草をすりつぶして塗り、水で冷やした手持ちのバンダナを巻きつける。

椅子にちょうどいい大きな石があったので、そこに座らせてもらった。そして、足を伸ばす。

――さて。


「岩泉さん……話、してもらっていいスか」


影山さんが声をかけると、岩泉さんは軽く頷いて座り直した。

日向さんたちの視線を浴びながら、変わらない、聞き慣れていた声で話す。


「自己紹介まだだったな。俺の名前は岩泉」


そして、こう続ける。


「少し前まで――及川の右腕だった」


その一言に、三人が息を飲むのがわかった。

私は小さく目を伏せる。これを、最初から話すと長いから――そして、私には、とても。

影山さんも黙っていた。その横で、日向さんが若干前のめりになる。


「大王様のところにいたってことですか? あ、だから影山とAと知り合いなんだ」

「まあ、そういうことになるな」

「……何で、城を出たの」


その二人の追放とは違うんでしょ、と研磨さん。確かに、と影山さんが顔をあげる。


「岩泉さん、及川さんの一番近くで……でも急に飛び出していきましたよね、何でだったんですか」

「なんかあいつムカつくから」

「…………」


みんな黙った。そんな空気をものともせず、岩泉さんは言う。


「で。影山とAは追放か?」

「はぁ……」

「俺が出てったすぐ後みたいだな、全然知らなかったけど」

「……一月も経っていなかったと思います」


小声で答えてから、私は顔を上げて岩泉さんに問うた。

岩泉さんの格好は、いなくなったとき、城にいたときのそれと全く変わっていない。


「岩泉さんは、城を出てからこれまでの間何してたんですか」

「何って? あー……まあすぐに追っ手がやってきたけど、逃げ切れたしな」

「追っ手……すげえ」


日向さんが感心した声を出すけど、まるで大したことなかったみたいに岩泉さんは話す。


「そんなにすごくねえよ。所詮は及川の手下だし」

「大王の手下を所詮扱い……」

「で、逃げてるうちに迷った」

「…………」


研磨さんが固まった。そののち「…………え?」ポカンと声を出す。


「や、でも森って複雑だろ? お前らよくここまでまっすぐ来れたな」

「いや、同じ道をずっと進めばいいだけですよ……」

「そうか? 樹海とかあったけどな」

「…………」


樹海って、ホントにこの人私らと同じ森にいたの?


*

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設定タグ:ハイキュー!! , FHQ , 影山飛雄   
作品ジャンル:ファンタジー
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作者名:スマトラ島のラフレシア | 作成日時:2016年8月1日 18時

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