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*
「っうわわわわわ!? す、すいませんっ!?」
驚いてすぐさま立ち上がった日向さんは、ビシッと腰を曲げて謝った。研磨さんが私の横で顔を覆っている。
少しして、むくりと起き上がった男の人。口は固く結ばれたまま、痛いのか肩を押している。
「だっ、け、怪我とかない……ですか!?」
「…………」
首を降る。平気だ、の意味だろうか、ホッと胸を撫で下ろす日向さん。
普通あんな勢いで飛びかかられたわけだから、平気なわけないけれど……体つきががっしりとしていて丈夫そうだから、心配はいらないか。
それにしたって、どうしてこんなところにいたのだろう――そう思っていたら、彼は立ち上がった。そして、木の上を見上げる。
「…………助ける」
「へ?」
ビッと指差した先、そこにはヒナガラス。
ハテナがぽんぽん出ている日向さんに、研磨さんが助け舟を出した。
「一緒に助けよう、ってことじゃない」
「え? あ、そ、そうなの?」
「この人の上に日向だったら――たぶん、届くだろうし」
こくりと頷いた彼。そ、そうか、と納得した日向さんに私は言った。
「じゃあ、とりあえずここから出ましょうよ」
*
正面。ヒナガラスから一番近い位置。
既に彼は中腰になって待機していた。おそるおそる肩車されに行く日向さん、自己防衛最優先で後ろに下がる残り三人。
「何で下がったの今!?」
「いや、ちょっと離れた方が見えるのでー
」
「指示、出すよ。ここから」
「そ、そっか」
日向さんはもっと疑った方がいいけど、今だけはそれでよし。
彼は立ち上がった。肩車された日向さんはうわわっと狼狽えながらだけど、なんとか姿勢を保つ。
そう……ここからだ。すかさず研磨さんが声を飛ばす。
「もうちょっと右、右に二歩」
言われた通りに動く彼。
「一歩前――日向、見える?」
「あっ、いた! おーい大丈夫か、もう心配はいらないぞ……」
話しかけながら手を伸ばした日向さん、びっくりしたのかぴゃっと縮こまるヒナガラス。
でも――届かなかった。あと数センチ、というところで日向さんの腕の長さが足りない。そのうえヒナガラス側から歩み寄ってこないので、届いていない。
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作者名:スマトラ島のラフレシア | 作成日時:2016年8月1日 18時