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「で、じゃあこのまま城に戻るってことか?」
「あっ、待ってください」
二人を呼び止めて、私は屈んで足元の木の枝を拾った。地面にぐにゃりと歪な楕円を描く。
それを、覗き込んでくる二人。
「正確じゃないですけど……大王様の城は、南の果てにあります。というわけでここ」
とりあえず城の場所としたところに、星印を描く。
「北の方は多分今冬ですね。そこまで行って戻ってくるのには理由がないので、これ以上は進みません」
「おれの村は北のほう、この辺だ」
日向さんが指差した場所に小さな丸。そこから真っ直ぐに進んできたらしいので、城から来た私達と、彼のルートが交錯する。そこがバツ印、今の地点。
「東は森です」
適当に森を描く。
「そちらに進んでいる予定でした。だから私達が目指すのは――」
「東、か」
影山さんにこくりと頷く。森にいけば、少なからず食糧も手に入るだろうし、あとは日向さんのレベルアップも――
……レベルアップ?
もしかして、と嫌な予感がした。もしかして、そんな。
「……あの、日向さん」
「ん? なんだ、A」
「日向さんは、"勇者"ですよね」
「そうだぞ! おれは勇者――」
「どうしたんだA」
つらり、と嫌な汗が頬を伝う。水分の浪費とかそんなことを考えている場合じゃない。
つまりこれは、この道は。
「影山さん。私達が勇者と手を組んだっていうことは、つまり……」
「? おお」
「つまり、ですね」
その瞬間、嫌な地響きがした。顔が引きつるのを感じながら、こわごわと振り返る。
そこには。
「っ、なんだこいつ!!」
「あれ? さっき同じの倒したのにまた来て……ああそっか、同じ種類なだけか」
「いいから説明しろボゲ!!」
ただ一人、勇者・日向だけが小振りな剣を出す。それから、なぜか、ちょっと楽しそうに言った。
「だってほら、勇者はモンスター倒して先に進まねえと!!」
デカイそいつは、ニヤッと笑って私達への攻撃を開始した。
*
「あーほら、そうやって俺に反逆しちゃうから〜」
大王・及川は、部下の黒尾の水晶を覗き込んで言う。
両者の目は鮮やかな赤色をしていた。
「まあしょうがないよね〜。あ、もういいよ。どうせ倒すし」
「はい」
黒尾が手をかざすと、三人が戦う様子はすぐに消えて、元通りの水晶になった。自ら白い光を放っている。
「さて、これからどうなるかね」
及川の独り言に、黒尾は首をすくめてみせるだけだった。
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作者名:スマトラ島のラフレシア | 作成日時:2016年8月1日 18時