第4章 かつての右腕、かつての仲間 01 ページ31
*
こうして、パーティは5人になった。
歩く地は自然豊かな森。食糧にも困らない。そして何より、水がある！
キラキラと輝く太陽の光を浴びて、打倒大王への道を迷うことなく進む――。
進む。
進みたい。みんな口には出さないけれど進みたい。かつて居た、目指している、目的のある、城へ。
そのはずだったのに。
「っあーー！ 影山あぶなーーい!!」
「うっせぇボゲ……ぶっ!?」
「ちょ、ちょっと、研磨さん居ませんけど!? 消えた!?」
「…………」
青根さんが脇の生い茂る木々を指差す。あの人っ……魔導士だからって逃げちゃいかんとあれほど……。
影山さんは思い切り木にぶつかって白目剥いてるし、日向さんはあわあわしていてもうじき泡吹きそうだし、……今唯一まともなのは青根さんか。図体の大きい割に走りは俊敏だ。
研磨さん酷い後で呪ってやる、と顔をしかめながら、走る、走る、走る。
どうして我々こんなに慌てているかといえば――時間は少し、巻き戻る。
*
「変……」
最初に言葉を発したのは、一番後ろを歩いていた研磨さんだった。その声を聞いて、前にいた私達は立ち止まって振り返る。
「どうかしたのか？」
日向さんが尋ねると、研磨さんは難しい顔をして答えた。
「あれから……結構歩いた、よね」
「数キロは歩きましたね」
「うん。だから、これくらい歩いたなら……何匹かと遭遇してても、おかしくないんだけど」
モンスターのことだ。そういえば、と思い返す。
影山さんとしりとりしていたから気がつかなかったけど、この道でモンスターに出会っていない。それに、最後に戦ったのはいつだったっけ？ 雑魚ならいくつか蹴散らしたけど。
影山さんはピンときていないからか首を捻っていた。代わりに、日向さんが歩いてきて言う。
「研磨も、おれたちと会う前にモンスターやっつけてきたんだよな？」
「まあ。白魔導は天敵とみなされてるから、襲ってきたよ」
「おれも、村を出てから色んなヤツ倒してきたけど……こんなに距離歩いたし、全然いないっておかしいよな」
「うん、そう思う」
揃って不思議がる二人に、影山さんが言った。
「変でも何でも、会って戦って怪我する必要ねぇんだから別にいいだろ」
「それはそうだけど……変だなぁ、と思って」
「もしかして、この辺モンスターいないのかな!?」
「それはあり得るかも……」
*
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作者名：スマトラ島のラフレシア | 作成日時：2016年8月1日 18時
