17 ページ19
_
ユタヒョンは周りの練習生からしてみれば、一目も二目も置かれる存在だった。
それはもちろん、ビジュアルもダンスも歌もぜんぶがトップクラスだったことも、おとこの練習生のなかでは唯一の日本人だったこともあるし、
そんなただでさえ目立つユタヒョンが、あのAと意味深なほど仲が良かったからというのもあった。
Aは個別レッスンばっかりとはいえ、同じ事務所内のレッスンルームを使っているのだからもちろん移動中に見かけるとか、運が良ければ群舞のレッスンがかぶるだってあるのだ。どの練習生だって。
ただ、自分からすすんで他の練習生と話そうとはしないAは、移動中、たったいま自分が通り過ぎようとしているレッスンルームに他の練習生がいると分かれば、できるだけ目につかないように足早に通り過ぎようとしているようだったし、
群舞のレッスンで他の練習生と同じレッスンを受けることになるその稀なタイミングにも、誰より早くレッスンルームに入っているくせに耳にイヤホンをつけて、まるで話しかけてくれるなとでもいうように一心不乱に個人練習をしてコーチが来るのを待っているような始末だった。
それがどうだ、ユタヒョンとマークを見かけたときだけ、ぱっとほんとうにうれしそうな顔をして自分から駆け寄っていくのだ。
嫉妬も羨望も、興味も疑念もあっただろう。
とにかく練習生たちは、そんなAやユタヒョンやマークが気になって仕方がなくて、
ユタヒョンもマークみたいに、聞かれれば素直に「学校が一緒なんだ」とか、ユタヒョンだったら「同じ日本出身だから」とか言っちゃえばいいのに、
なんでかユタヒョンはAに関しては一貫してノーコメントの姿勢を貫き通した。
そしてなんせまあ、練習生のみんなもユタヒョンとAが同じ国から来たことくらい知っていたけど、
それだけで説明できないんじゃないかって勘ぐれてしまうくらいには、このふたりはまあ仲が良かった。
遠目からしか見ることはできないけれど、それで充分伝わるふたりのお互いの特別さ、みたいなものが確かにあって、
そういうこともあって、だからユタヒョンはマークより余計に、みんなから注目されていたかもしれなかった。
_
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1016人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「NCT」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
花藤(プロフ) - アラレさん» 気楽に、と言っていただけるとこころが救われますTTセブンスセンス編、長くなりすぎてて不安だったんですけど、おもしろいと言っていただけて安心しました…。セブンスセンス編自体は次作で終了予定なので、もうすこしお付き合いいただけると幸いです。 (2021年1月19日 2時) (
レス) id: eefe3c42a8 (このIDを非表示/違反報告)
花藤(プロフ) - 彩都さん» 感想いただけてとっても嬉しいです。スローペースの更新にはなりますが、またお時間あればお読みいただけると幸いです…。感想をいただくというのも、貴重なお時間とお手間いただいてると思います。ほんとうにありがとうございますTT (2021年1月19日 2時) (レス) id: eefe3c42a8 (このIDを非表示/違反報告)
花藤(プロフ) - まりもっちさん» まりもっちさま！また感想くださったんですねTTこころから嬉しいです。ありがとうじゃ足りませんTTコーラの件、実はあんまり構想になくて、その場で思いついて追加したエピソードだったんですけど、気に入ってくださってよかったです。またよければぜひいらして下さい！ (2021年1月19日 2時) (レス) id: eefe3c42a8 (このIDを非表示/違反報告)
花藤(プロフ) - ヨリさん» 自分の書きたいものばかり書いていますが、おもしろいと思ってくださる方がいる限りはわたしなりに頑張ろうと思いますTTそのお時間とお手間をかけて感想をくださったことがほんとうにうれしいです。ありがとうございます。 (2021年1月19日 1時) (レス) id: eefe3c42a8 (このIDを非表示/違反報告)
花藤(プロフ) - UYさん» 心待ちにしてくださっていたというそのお言葉がほんとうにうれしいです。描写や表現もお褒めいただいて、そんな風にこの作品を読んでくださる方がいらっしゃると思うと感無量です…。胸がいっぱいです。拙著ですがこれからもそのお言葉を胸に頑張りますねTT (2021年1月19日 1時) (レス) id: eefe3c42a8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：花藤 | 作成日時：2021年1月13日 11時
