関西の太陽 VII (ページ10)

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どう説得しても無理で、姉ちゃんと住むかとかいっそ家族全員で大阪に引っ越すだとか話がどんどん膨らんでいって、発端は自分ではあるものの疲弊していった時。

家まで来て説得しに来てくれて最終的に色々話した結果、丈くんのおうちの近くに一人暮らしが条件になり、丈くんのご両親とうちの親で挨拶みたいな事もあっての今がある。

丈｢なあA、これ結婚の挨拶みたいちゃう？｣
『…え、』
丈｢ん？｣
『……丈くん売れ残りそうやもんな』
丈｢なんでやねん、｣

約10年前言われたあの言葉は今でも覚えてる。

挨拶でもあるし形式上フォーマルな方がいいやんな？とお互い話して、わたしはきちっと見えるオフホワイトのワンピースを着たけれど、あの時の丈くんも今日と似たようなネイビーのスーツを着ていた。

姉ちゃんの弾丸トークに優しく対応してくれてる丈くんの間に入り、会話を止めてすぐ行くからと丈くんと一緒にその場を離れた。

『ほんっまにごめん丈くん』
丈｢ええよ、話せてよかったわ｣
『わたしが丈くんと話したかったんに…』
丈｢ん？｣
『わたしやって久しぶりに会えたもん、』
丈｢……そうやな？｣

ぽん、とヘアセットを崩さないように優しく頭を撫でてくれた直後。
丈くんのママがぱたぱたとこっちに向かってきてるのが見える。

久しぶりやんか！と優しく話しかけてくれご挨拶をさせて頂きお互い時間がないからとまた連絡する、なんて言いながら丈くんと別れた。

｢Aちゃんと何話しとったん｣
丈｢何もないわ、｣
｢ずっと好きなくせに行動遅いんとちゃう？｣
丈｢うっさいわオカン｣
｢はよ今日みたいなお式Aちゃんと出来るとええけど｣
丈｢……まあ期待しとけや｣

そんな会話があったことはわたしは知らないけれど、姉ちゃんから丈くんと結婚したら？と10年近くずっとわたしに薦めてるのも、丈くんは知らない。