関西の太陽 Ⅴ (ページ13)

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Ugly ページ13

* no side

寄江Aがきらい。女の子なのにジャニーズとしてわたしの好きなメンバーと一緒にいれて大して面白くもないのに持て囃されて。

歌って踊れて、スタイルが良くて、
何より顔が可愛くて、綺麗でむかつく。

スマホの向こうでは大好きな大晴くんとにこにこと微笑みあっていてぎゅっと心臓が痛い。

はやくいなくなってくれればいいのに。

グループだけじゃなくて色んなところからちやほやされてベタベタして、ただの男好きじゃない。

それなのになんでみんなAちゃんAちゃんって言うわけ？
全然意味わかんないし、そんな言うほどじゃないじゃん、

なんて。

ぱらぱら雨が降ってきて、前も見ずに急いで動いたからぶつかって咄嗟に謝ったらそこにはわたしの大嫌いな人がいて。

『ごめんなさい！怪我してへんかな、大丈夫ですか？』
｢…寄江…A…｣
『ん、知ってくれてる？ありがとうございます。』
｢あ…いえ、｣
『雨嫌やねえ、あ…傘ない？じゃあこれコンビニのやけど』
｢いや、｣
『わたしすぐそこなん。風邪ひいたら大晴にも会われへんよ！』

携帯の裏にケースで挟んだ大晴くんの写真。
盗み見るなんて嫌な女。

『はい、じゃあまたね。応援ありがとう！』

感じのいい香水の香りを漂わせて、造形のいい綺麗な笑顔を向けて強くなった雨に打たれて走ってく嫌いな女。
すぐそこ、なんて言いながらだいぶ先まで走っていく姿を傘の下で見てしまう。

ああ、もうだからきらい。

そうやって優しいところを出して媚びてきて裏表のない性格が、大晴くんの隣にいる寄江Aそのまんまで、きっとすっぴんだった顔だってテレビや動画で見るのと全然変わらなくて綺麗だった。

すらりとした脚や無駄な肉のないフェイスラインが、
わたしをみじめにさせる。

ああもうきらい。
こうやって、可愛くて優しいあなたに嫉妬するわたしがいちばんきらい。