関西の太陽 Ⅱ (ページ35)

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いろけページ35

* Suezawa

Aが大学にあがった頃、ふとした表情に薄らとした色気を感じた。
ダンスしてて休憩、ってなったとき話しかけようとしたらタオルで汗拭いててTシャツの裾をぱたぱたとして風を送ってて。

『…すえくん？』
｢あ、…や、A、覚えた？｣
『んーいや難しいなあ、』

へにゃっと笑った顔はいつも通りまだまだ子供らしいAの表情で思い違いかなと思ったけど、俺の感はやっぱり当たってた。

あ、女の子ってこんな急に成長するんや、って実感したんよ。

『…すえくんなんか今日おかしくないです？』
｢え？いや、んなことないよ｣
『や、ほんまに。めっちゃぼーっとしてる』

するりとおでこに触れた手もやわくて、袖から見える二の腕とか変な意識が余計に顔を熱くさせる。

『すえくん、熱ありません？今日は帰った方が、』
｢ちゃう、ほんまに大丈夫やから、ほんまに！！｣
『えぇ？敬太くん…今日おらんか、あ、かずくん』
｢…ほんまにええから、横おって。｣
『大丈夫？』

ぽすんと横に座ったAの肩を借りて頭を乗せる。
汗かいてるのに柔軟剤とシャンプーの香りがむせ返るくらいに香ってきて。

たぶん、俺が意識してるだけでそんなに香りも強くないねんけど近いからこそで。呼吸する度にAの匂いが渦巻いてぼーっとしてくる。

｢……A、｣
『うん？』
｢…ほんまにあかんかも｣
『え？ちょ、すえく、うわああ！？』

そこで、記憶を手放して次の記憶はAの膝枕やった。
あ、起きた、大丈夫？って蛍光灯の明かりで逆光やねんけど、絶対安心した顔してるなって思った。

薄目で見てみれば案の定安心したような表情で微笑んでて。

『すえくん熱あってん、今は引いたけど…』
｢そやったん、｣
『やしすえママ呼んだよ。もう来ると思う』
｢…ありがとう｣

そのまま起きて、レッスン着のまま家の車に乗り込んだら知恵熱出すなんて高校で好きな子できた時以来やけど倒れるほど？って話されて、ああ、それくらい大事に思えてるんや、なんてうとうとと思いながら助手席で眠りについた。