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5 恭平side ページ5
大吾くんが、俺の方に向き直る。
「あんな、」
大吾くんが、眩しそうに目を細める。真剣な話をする時の大吾くんの癖。
「女の子は、好きな人がそばに居て、ぎゅってしてくれるだけで幸せやねん。」
付き合って4年の彼女がいる人の言葉はそれなりに重みがあった。
「それにAちゃんだって恭平にそこまで期待してないやろ」
「おーい？」
「Aちゃんは、金とか身分とかそういうことを気にする子ちゃうやろ」
話が一息つくのを見計らっていたかのように、実験用の器具がピピピ…って五分のタイマーを鳴らした。
大吾くんが立ち上がって様子を見に機械の側に歩いていく。
“女の子は好きな人が側にいて、ぎゅってしてくれるだけで幸せやねん”
頭の中で、Aちゃんを抱きしめる。Aちゃんが戸惑って照れ笑いを浮かべるのが目に浮かんだ。
心に浮かんだのは、愛しさ、それから、大きな後悔。今すぐに抱きしめてあげたい、それから…
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作者名：はな | 作成日時：2022年8月16日 22時
