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「ふっ、う、」
好き。
「好きだ、二宮。」
花の代わりに、
口から溢れた言葉。
「櫻井。」
「っ!?」
聞きなれたその声に、勢いよく振り向くと、そこには二宮がいた。
「は、な、なんで...?」
なんでここにいるの。
「教室出ていく時のお前なんか変だったから追いかけてきた。」
「なあ、その花、」
二宮がリナリアの花を指差す。
「見るな!!!」
リナリアの花を慌てて広い手のひらで隠した。
でももう遅くて。
ああ、最悪だ。
「櫻井、花吐き病なんだろ?」
1番知られてはいけない人に、知られてしまった。
「ふっ、う、うあ、」
きっと失望された。
気持ち悪いって思われた。
もう今までと同じようには接してもらえない。
泣くな、そう思うのに涙は止まらなくて。
嗚咽がひどくて喋れない俺に、二宮は近づいて屈んだ。
不意に重なる視線に、鼓動が早くなる。
「なあ、櫻井。」
「俺にお前の花吐き病を治す手伝いをさせてくれ。」
そう言って二宮は俺の手のひらをそっと開いて、リナリアの花に触れた。
ばっ、
「馬鹿野郎!!!」
「花吐き病はな!花吐き病患者の吐いた花に触れる発症すんだよ!」
「お前も、花吐き病になっちまうんだぞ!!!」
思わず大声で怒鳴ってしまう。
「ならないよ。」
「え...?」
二宮の言葉の意味がわからない。
「言ったじゃん。『お前の花吐き病を治す手伝いをさせてくれ。』って。」
「俺、」
「櫻井のことが好きだよ。」
「は?」
すき?スキ?好き?
...。
その言葉の意味を理解するのに時間がかかる。
「はあ!?」
好きってあの 好き だよな...?
「さっきの言葉、聞こえてたよ。」
さっき...
『好きだ、二宮。』
かぁあ っと顔が熱くなる。
「!?」
「ね、櫻井も俺のこと好きなんでしょ?」
まだこの状況に頭は追いつかないけど、
俺が二宮のことを好きかどうかなんて答えははじめから決まっていて。
「好き。」
「良かった。櫻井の気持ちに気づけて。」
不意に二宮が呟いた。
「なんで?」
「だって、リナリアの花言葉って、」
「この恋に気づいて でしょ?」
バッドエンドでもよかったんだ。
(そう思うのは、)
(今が幸せだから。)
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紫央梨(プロフ) - もさくさん» シリーズ化、嬉しいです(^-^) 待ってます(o^^o) (2019年8月12日 10時) (レス) id: ee37a9445e (このIDを非表示/違反報告)
もさく(プロフ) - 紫央梨さん» 紫央梨さんはじめまして、コメントありがとうございます!いつも楽しくだなんて勿体ないお言葉です(><)実は「教えてあげる」の2人私もかなり気に入っているのでシリーズ化もありかなって思ってたり、、、また2人の話を書く時があればぜひぜひご覧下さい! (2019年8月12日 9時) (レス) id: 64ff355b3f (このIDを非表示/違反報告)
紫央梨(プロフ) - 初めまして。いつも楽しく読ませて頂いております。「教えてあげる」とても好きです(//∇//)続きが気になります!!これからも更新楽しみにしています(*≧∀≦*) (2019年8月11日 13時) (レス) id: ee37a9445e (このIDを非表示/違反報告)
もさく(プロフ) - aoiさん» お返事遅くなってしまいすみません。aoiさん、コメントありがとうございます!花吐き病パロはずっと書きたいと思っていたお話だったので書いている私が1番楽しんでしまいました。更新頑張ります!ありがとうございました! (2017年9月13日 9時) (レス) id: 64ff355b3f (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - 初めまして(*´-`)花吐き病、とても素敵なお話でした!これからも更新楽しみにしています。 (2017年9月6日 19時) (レス) id: 063293b567 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もさく | 作成日時:2017年8月28日 0時