660 *Fiance* ページ10
Aさんの名前を出した時、涼介さんの瞳が動いた。
動揺を隠せない色で。
今までも...私が気づきたくなかっただけで、私じゃない人を想う素振りは沢山あったんだけどね。
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それでも、残り僅かな可能性に賭けたかった。
涼介さんが嘘でも私を好きだと言ってくれたから。
そのまま好きになってくれることもあるかもしれないなんて。
淡い期待を抱いてたなんて。
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ほんと...私、馬鹿なんじゃない?
Aさんが泣いてる姿も、涼介さんが時折見せる悲しそうな瞳も声も。
全部私が邪魔して...
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何やってるの...
私は涼介さんを奪うことはできたかもしれない。
でも、彼の想いがここにないのに、一緒になって...どうするって言うの?
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悔しかった。やっぱり納得いかなかった。
私の知らない涼介さんをきっと沢山見てきたAさんに嫉妬して。
私が隣にいるのに、私の方がなんでもしてあげられるのに、最終的には違う人を想う涼介さんに嫉妬して。
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私が入る隙間なんてなかった...。
初めて涼介さんに会った時から...目に見えてわかったはずだったんだけどな。
彼は私との結婚を望んでいない。
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彼は私を好きにはなってくれない。
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自分がこんなにも諦めが悪いなんて知らなかった。
ﾘﾝｸﾞを選ぶ時だって。
涼介さんが見ていたﾘﾝｸﾞは...涼介さんが持ってたもの。
あぁ...ﾍﾟｱだったんだ...誰と?
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同じものを2つ買うなんてあり得ないし。
ｶﾌｪで会ったAさんのﾈｯｸﾚｽのﾁｪ-ﾝにかかるﾘﾝｸﾞ。
やっぱり私の恋は叶わないんだ。
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結納なんてすぐ終わらせて後戻りできないようにして。
結婚に結びつけるようにさっさと片付けて...
そうすればよかったかな。
でも、最後は私は間違ってなかったと思う。
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真剣な顔して、私に詰め寄る涼介さんは私のことなんて気にしてくれなかった。
当然と言えば当然なんだろうけど、それでも悲しかった。
だからもういいや。
私じゃだめなんだ...。
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名無し53407号(プロフ) - 突然すいません。号泣しました。感動です。こんな素敵なお話を書いてくださってありがとうございますほんとに。泣 (2018年1月15日 22時) (
レス) id: 42ec7976c2 (このIDを非表示/違反報告)
あすみ(プロフ) - 國松真優さん» コメントありがとうございます！ こんなお話でも泣いていただけてよかったです（笑） 応援よろしくお願いします！ (2016年6月13日 8時) (レス) id: 9eb015a482 (このIDを非表示/違反報告)
あすみ(プロフ) - しおりさん» はじめまして。コメントありがとうございます！！ 号泣（笑） 一応、感動的なシーンではあったのでよかったです（笑） 嬉しいお言葉頂けて光栄です。 (2016年6月13日 8時) (レス) id: 9eb015a482 (このIDを非表示/違反報告)
國松真優(プロフ) - すごく号泣しました。これからも応援してます！ (2016年6月13日 0時) (レス) id: 9ea6e88dce (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - はじめまして！！ いま、1人で読んで号泣してます笑笑 こんなに泣いたのはじめてです！ この小説大好きです！ (2016年1月7日 5時) (レス) id: 531f270852 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あすみ
| 作成日時：2015年4月2日 19時
