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「ねぇ、どのタイミングだったの？」
上がりきった体温を持て余して結局また俺を腕の中に納めた男はそんなことを言う。
「なに？」
「俺のこと好きになったの」
「知らない」
「知らないことないでしょ」
まだ片手で数えられるほどしか知らない彼の腕の中という空間が、もう定位置となりつつあるのが変な感じだなあ。
調子良いこと言うとしたら、そうなることが決まってたからなんだろうかなんて。だってそうじゃなきゃ何の気紛れだよ、うっかりノンケと両想いって。
バカなことを考える俺を余所に腕の力を緩めたり強くしたりしながら男は答えを催促する。
「最初に声かけた時かもしれないし、その翌朝かもしれないし、こないだ来た時かもしれない」
「何それ。素直じゃないって言われない？」
「あー、言われる」
「え、嫉妬するんだけど」
「いやお前が聞いたんだろ」
冗談言って笑ってる雰囲気ではあるけど多分ちょっとマジで嫉妬してんだと思う。腕がそう言ってる。
感情を表に出すことに躊躇いがないんだよなあ。そゆとこ少し羨ましいけど、俺はそうはなれない。すべてにおいて感情をひた隠しにしているわけでもないけど。
「あんまり名前呼んでくれないね」
「そ？」
「してる時以外で聞いた覚えない」
「呼ばれたいひと？」
「呼ばれたいひと」
でしょうね、とは思うよ。俺が殴られっかもしんないと思ってた例の朝でさえ開口直後に俺の名前呼んでんだから。
「潤、で良い？」
「呼びたいように呼んで。唇が覚えるくらい呼んで欲しい」
「これから嫌ってほど呼ぶよ。運命も絶対もあるんだろ？」
こいつの惜しげもなさすぎるそれには劣るけど、俺だって歯の浮くような言葉の一つも言えないわけじゃない。つって、密着してた体を離してここぞって時の顔で言えば彼は初めて見る表情をした。やわらかく笑う時とも、愛を囁く時とも違う表情。暗いから見えないけど真っ赤んなってんじゃねーかなと思うような、てそれは俺なんだけど。
「やばい、マジで好きだ」
「なにそれ」
折角キメたのに照れてんだか何だかよくわかんないけど目ぇ合わせてくれないから、顔が見える程度とは言え体が離れてるうちに一旦腕を解いて。
すべての発端となった夜に彼が感じたという愛を伝えるべく、恥ずかしくて言葉に出来ない想いも込み込みでめいっぱい抱き締めた。
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7oh(プロフ) - ぽっちさん» ぽっちさん、初めまして！コメントありがとうございます！逆CP好きな方からそう言ってもらえるとめちゃめちゃ嬉しいです！！M視点の話も書いてみようかなぁと思いました。忘れた頃になるかもしれませんがｗ、その際には是非また感想を聞かせてください！ (2021年6月13日 21時) (
レス) id: 886f4a5b1d (このIDを非表示/違反報告)
ぽっち(プロフ) - 初めまして、基本SJ好きなんですがこちらのお話楽しく読ませていただきました。ロマンチスト同士素敵です。Mさん視点でもぜひ読んでみたいです。一粒で二度美味しい。 (2021年6月13日 17時) (レス) id: e53998f21c (このIDを非表示/違反報告)
7oh(プロフ) - タルトコさん» タルトコさん、コメントありがとうございます！Mに射抜かれちゃいましたか、そう言ってもらえて嬉しいです！なんとなくMは純粋に真っ直ぐな言葉をぶつけそうだなぁと思うんですよね。それでいてロマンチストみたいな。Sも同等かそれ以上にロマンチストだと思ってますｗ (2021年3月7日 19時) (レス) id: 886f4a5b1d (このIDを非表示/違反報告)
タルトコ(プロフ) - こんにちは。7ohさんのお話のMさんは、Sさんの心を確実に射抜く言葉を持っているなぁと思っていて、いつも読んでる私まで射抜かれます。それが策ではなく真っ直ぐな心そのものだったりするので、本当にもう、ロマンチック最高です！素敵なお話ありがとうございました！ (2021年3月7日 11時) (レス) id: 60a0110370 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：7oh
| 作成日時：2021年3月1日 21時
