temperature-2 ページ2
「気になってたんだけど、きっかけって何だったの？」
「内緒」
汗をかいたグラスから水が滴って彼のスウェットを濡らす。彼はそれに気付いて、また酒を一口。そしてグラスをテーブルに置いた。
「まだ、内緒」
それについて、じゃあいつ明らかにしてくれるのかって知りたくなったのに肩を抱かれて髪にキスされたら何も言えなくなって。いつかのその日を楽しみにしておこう、なんて思うにとどまる。
髪に頬を寄せる彼を見上げたら丁度良いポジションで目が合って、ごく自然な流れで唇が重なる。アルコールの香りと彼のニオイに蕩けるような感覚。
うっかりしたら唇が離れる僅かな間に縋るような声で「すき」だとか言ってしまいそうになる。別に言ったっていいんだろうけど。
ポジション云々はそれとして俺、どっからどう見たって野郎なわけだよ。冷静に俯瞰したら気持ち悪いだろーが。
なんて、彼の前では意味をなさない一応の尊厳みたいなものが邪魔をする。
俺のくだらない葛藤を知らない彼の唇が離れて、それが名残惜しくて。回数制限があるもんでもなし、してって言えばしてくれるし俺からしたって応じてくれるけど。そりゃそうだ付き合ってんだから。
でもいちいちなんか寂しくなる。あ、離れてしまう、とか思う。多分ずっと馬鹿みたいにキスしていたいから、触れていたいから。
「かわいい顔してる。それ他でやっちゃ駄目だよ」
「どんな顔？」
「自覚ないんだからマジ危ないんだよなぁ」
「どゆこと？」
「あーほら、それとか」
「なに、わかんない。なに？」
時と場合によるけど可愛い風に振る舞う時はあるよ。そうした方がハマる時とかオイシイ時とかさ、あるわけで。カメラの前ではね。でも別にいまは、そーいうんじゃないし意図的に可愛くしたわけでもない。
「この間さぁ、あの人が言ってたよ」
誰？て聞こうとして口を噤む。軽く俺の頬をむに、てする彼の視線がちょっと怖くて何か言える空気じゃない。
「翔くんと話してて、あれ？ってなったんだって。何か可愛いなって思ったんだって」
「別にそーいう対象としてじゃないっしょ」
誰が言ったんだかわからないし心当たりもないけど、俺に対する“可愛い”は多分キュンキュンくる的なそれではないだろ。まして彼が俺に向けて言う“可愛い”とは別物のやつだろ。
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7oh(プロフ) - タルトコさん» タルトコさん、こんばんは！待っていてくれてうれしいです。気温が下がってきたので温かくしてまったり読むのにちょうどいいかな、と思ったりしたりして。ご褒美になったならこれ幸いです。抜歯まじで大変でした…タルトコさんもお気をつけて（普通6本も抜かないね (2020年10月20日 22時) (
レス) id: 886f4a5b1d (このIDを非表示/違反報告)
タルトコ(プロフ) - こんばんは。そしてお待ちしておりました！久々の、甘くて柔らかくてやっぱり甘い、2人のひとときに心が潤いました。一日の最後に嬉しいご褒美…ありがとうございました。そして抜歯、大変でしたね汗！どうかお大事に…。 (2020年10月20日 0時) (レス) id: 60a0110370 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：7oh
| 作成日時：2020年10月19日 22時
