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「潤も腹減ってた？」
「もーね、腹ぺこ」
「待っててくれてありがとう」
確かに結構ガツガツ食ってる。今日は初めて開けたホタテ味。かつお味は俺が好きだから、彼は違う味が良いって言ってくれんの。まぐろとか、カニとか。
「ホタテ味うまい？」
「そこそこかな。まぐろの方が好きかも」
グルメな彼の“そこそこ”は、本当にそこそこうまい。人間の時と猫の時で味覚って全くの別物で。不思議なんだけど猫には甘味も旨味もなくて、でも彼はそのどちらの感覚も楽しんでる節がある。猫の時は舌から感じる味って少なくて、どっちかっつーとニオイが人間で言うとこの味くらいの感覚、つっても両方経験してる人なんていないだろうから伝わるか微妙だけど。
「穴子味とかないのかな」
「見たことなくね？」
「食べたいなぁ」
「人間の時に食えんじゃん」
「こっちで食べたらどんな味なのか気になる」
そゆことか。それはわかる。俺も赤貝とか蛤とかあったら食ってみたいし。肉食動物のはずなのにチキンとかビーフな味のやつはイマイチなんだよなぁ。やっぱ魚介系最強。
一粒残らず、欠片も残さず綺麗に食べた彼は口の周りをぺろりと舐めた。前脚で口元を整える姿はどこか優雅で、何の気なしにやってる事なのに様になる。惚れてるからってのもあるけど何やっても格好良いんだよ。
「どうかした？」
「見とれた」
「ふふ、照れるじゃん」
ご機嫌な尻尾がゆらゆら揺れて、やっぱり見とれてしまう。触りたい。
俺は尻尾触られるとぞわぞわしちゃうんだけど、多分彼もそうだと思うんだけど、ふんわり掴んで根元からしゅるって滑らせても怒んない。
いや俺も怒んないよ？でも掴まれても自分からしゅるってしちゃう。
そういうのもだし、基本めちゃくちゃ優しいの。ごはん簡単に完成するようにしてくれんのも、俺が料理しない、出来ないからってのもあるにせよ仕事してる時間が長いから料理に時間取られなくて済むようにしてくれてんの。
食べたいのある時は早めに言っといたらリクエスト聞いてくれるし、ごはん以外も、繁忙期でへとへとな時は俯せになったら背中踏み踏みしてマッサージしてくれたりするし。
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作者名：7oh
| 作成日時：2019年7月26日 22時
