From nine to nine.【MS】 (ページ5)

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「今日は何してたの？」

「んー、起きたらじゅんいなかったから、テレビみながらごはん食べて、寝て、ごはん食べて、寝た」

いやだから食い過ぎだよ。さっきの入れたらきっちり三食食ってんじゃん。つーか。

「行ってきますしたよ？」

「したの？」

「したでしょ。いつもするじゃん」

うーん、なんて頭の中の記憶を探るように上を眺める目が綺麗。何を映しているのかな。俺が見るに天井から下げたカモメのモビールしか、あれ？これ何も考えてないな。完全にエアコンの微風で揺れるカモメ見てるな。
気を取られてるその目の前に、ちょうど近くにあった携帯の充電ケーブルの先を垂らして揺らす。

「ぉわ。うわ、」

「俺と喋ってるのに余所見した罰。運動して」

「ちょ、ごめん！これやだ、ぅわ」

動いてる物を追いかけて仕留めたくなっちゃう習性を利用させてもらうよ。ちょうど良いじゃん、食べ過ぎた分これで解消しようね。

「じゅん！やめて、ちゃんと話聞くから！」

そんなこと言いながら目はずっと不規則に動くケーブルの先を追いかけて。わざと前脚に軽く触れさせると本気になってパンチを繰り出す。ソファの上で飛んだり跳ねたり、俺の意のままに操られちゃう可愛い彼。

「行ってきますしたのも忘れちゃうし、俺の話も途中で飽きちゃうし。今日はおかえりも言ってくれなかったよね？ひどいなぁ」

「もうひどいのしないから！」

「本当かなぁ」

「ほんと、ほんと！これ以上やったら疲れてしんじゃうよお！」

大袈裟なんだから。あまりに必死な懇願に折れてケーブルから手を離すと、ぽとりとその場に落ちる。両方の前脚でそれを仕留めた彼を抱き上げながら仰向けになって、胸元に乗せた。

「俺のこと好き？」

「すきだよ」

「どれくらい？」

「いっぱい！」

お行儀良く座る彼が俺を見下ろしながら、めいっぱい可愛い事を言う。そういう自分が可愛いってわかっててやってるんだからずるいよなぁ。でも間違いなく。

「可愛いね」

背中を撫でたらお尻が上がって尻尾の付け根を撫でて欲しがる。ここ好きね。
甘やかしモードになったのがわかると彼は調子に乗ってどこもかしこも撫でられるように、手のひらに色んなところを忙しなく擦り付ける。でも一番嬉しいのは頭みたいで、手の中にすっぽり収まってしまう小さな頭をぐいぐい押し付けて喉を鳴らした。