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「もうすぐ出来るよ」
声をかければ彼は、んふ、って笑う。そんなにお腹空いてないと思うんだけど嬉しいのかな。俺がいるのが嬉しいのかな。だとしたら俺も嬉しい。
具材を半分だけ器に移して、パスタをフライパンに入れたら1分炒める。あー、腹減った。火を止めてお皿に盛ったら彼のごはんも器に入れて、常備菜のセロリのマリネを小皿に盛ってテーブルへ。あと俺のお茶と、彼の水も。
「お待たせ」
「オレもそれがいいなあ」
「玉ねぎ入ってるから駄目だよ」
はい、って手を合わせるのが合図。彼はテーブルに敷いた特等席のマットに乗る。いただきますってふたりで言ったら俺の大好きな時間。
自分で作った料理の食欲をそそる香りだとか、想像通りにうまく出来たこととか、そんなのはどうでもよくて。おいしそうに食べる彼を見るのが好き。だから特においしいって言うメーカーのやつで色んな味を買ってくるんだけど、結局かつお味が最高らしい。良い音立ててカリカリ食べるんだよなぁ。
「おいしい？」
「んまい」
「お腹いっぱいじゃないの？」
「食べてから時間経ってんだもん」
「ねぇマジで何食食うの」
俺が笑うとちょっとむくれてまた尻尾たしたしする。すぐ感情出ちゃうんだから。いちいち可愛くて疲れた頭の中から語彙力という語彙力をかっさらっていく程の、何だろうね、この可愛い塊は。
「オレが太ったら食べちゃう？」
「かもね。」
明日の天気の話でもするように気軽にそんなこと言うから、俺も気軽に本音を返す。
なんでこのタイミングでゴロゴロ言ってんの。嬉しいの？実際いくら太っても食べるとこ少なそうだよ。なんて思ったりして。
俺の食べるペースに合わせるように、ちらちら窺いながら食べてくれるのが健気で愛おしい。そんなの気にしなくても良いのにね。それでも彼の方が先に食べ終えちゃうから、うにゃうにゃ言いながら口の周りを綺麗にして待っててくれる。そのまま顔も洗っちゃう。便利で良いなぁ。
パスタもマリネもおいしく食べて、はい、って手を合わせる。彼は顔を洗う前脚を止めて、ごちそうさまってふたりで言う。
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作者名：7oh
| 作成日時：2019年7月26日 22時
