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「もうこれから翔くんのは缶詰めにしようかな」
「え、オレ缶詰め好きだよ？」
綺麗な色した目をきゅるきゅるさせて言う可愛い彼は、俺が意地悪を言ってる事に気付いてない。
「一人で食べようとしても自分で開けらんないでしょ」
「あ」
ほらね。尻尾たしたし叩き付けて悔しさを滲ませてる小さな体を抱き上げる。そんなに大きく尻尾振らないでよ、お腹に当たってくすぐったい。
「一人で開けられなければ俺が帰ってくるまで待ってられるよね」
「意地悪ゆうなよ！！！」
ほっぺたに、ぺしっとパンチを食らう。ちょっと怒ってるのにしっかり爪はしまってるところに愛を感じたりして。喧嘩したいわけじゃないんだよ。わかって欲しいだけ。鼻先にキスしてあげたら、もう御機嫌が喉から聞こえてくる。
「いつも言ってるじゃん」
「なに」
「仕事から帰ってきて翔くんとごはん食べるのが、俺の幸せなんだよ」
「オレも潤と食べるし」
「何食食うの…太るよ？」
めちゃくちゃ吃驚した顔してんだけど、まさかそんな発想なかったわけじゃないよね。ほんと変なとこ抜けてるんだから。
抱っこしたままキッチンに向かって、彼を椅子の上に降ろす。腕の中にあった高い体温が離れて少し寂しくなる、この瞬間は苦手。背中を向けて冷蔵庫を開ける俺のこと見てるの知ってるけど。
とりあえず何を作るか考えながら、彼が散らかしたごはんの残骸を片付けて。まぁ、盛大にぶちまけたわけじゃないから許してあげよう。
床が綺麗になったら再び冷蔵庫を開けて、残り僅かなキャベツの塩昆布漬けとベーコンを出して、あとは調味料もいくつか。で、まずは大きい方の鍋でお湯を沸かす。
沸騰するまでの暇な時間にベーコンを切って、キャベツも大きめに刻んで。あとは玉ねぎも半分だけ、キャベツと同じくらいのサイズに刻む。荒みじんより気持ち大きいくらいが好み。
ぶくぶくし始めた鍋に塩を入れたらパスタを入れて、茹で上がるまでの5分でさっき切ったのを炒める。フライパンにオリーブオイル、チューブのガーリックを小指の先くらい、クレイジーソルト、鷹の爪。火をつけて香りが立ったらベーコン、玉ねぎ、最後にキャベツを入れてキッチンタイマーが鳴る少し前に茹で汁をおたま一杯入れて乳化させる、と。
ちらり彼を見ればテーブルに前脚を乗せてこっちを見ながら鼻をすんすんいわせてる。可愛い。
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作者名：7oh
| 作成日時：2019年7月26日 22時
