1004 ページ4
・
・
・
薄い色のスカートなんて履いてきたから、雨のせいで色が変わる。
ブラウスが濡れて張り付いて気持ち悪い。
小さなハンドタオルじゃ庇いきれなくて、雫が払う前に染み込んだ。
寒くて震えそう。
・
・
・
・
水溜りをヒールで蹴ってなんとか駅まで来たはいいけど、目の前で踏切は落ちるし、家の方向の電車は行ってしまうし。
…もはやため息すら出ない。
こんな雨に濡れたままじゃ電車に乗るのも迷惑かな。
諦めて取り出した定期をそっと奥にしまいこんだ。
・
・
・
・
涼介は傘持ってるかな。
もしかしたらあの女の人が持ってたりするかな…
でも、車で行ったかもしれないし。
出来るだけ考えないようにしていたのにふと我に返るとすぐ思い出しちゃうんだからもう嫌だ。
・
・
・
・
漸く開いた踏切の竿。
目の前で待機していた人や隣で一緒に並んで待っていた人が一斉に動き出すから、
傘をさした前が見えない人にドン、とぶつかってよろけた。
「…大丈夫?」
・
・
・
・
危うく転びそうになった身体が支えられる。
突き刺さるような雨が止んだと思ったら黒の傘があたしを覆っていた。
A「…裕翔くん。」
裕翔くんも仕事帰りなのか、傘も差さずに突っ立っていたあたしを不思議そうな表情で見つめる。
・
・
・
・
裕翔「どうしたの?傘は?」
A「あ…、降ると思ってなくて…」
裕翔「急に降ってきたもんね。」
はい、と渡されたタオルが濡れた頰を拭ってくれた。
・
・
・
・
裕翔「帰りだよね?送るよ。」
A「えっ、でも、」
裕翔「傘ないでしょ?ほら。」
グイ、と腕が引かれて最も簡単に裕翔くんの傘の中に入る。
・
・
・
・
一層強くなってきていた地面を跳ね返る雨を見たら、大人しく送られた方がいいと思った。
これ以上雨に打たれたくないし、濡れて重くなったスカートを握る。
A「ごめんね…」
裕翔くんの着ていたブルゾンが肩にかけられた。
・
・
・
・
裕翔「全然?Aちゃん俺といると謝ってばっかだね。」
確かにそうかもしれない。
ふふ、と笑った裕翔くんの肩が濡れている。
A「裕翔くんが優しいから…」
・
・
・
3455人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
(名前)ほのか(プロフ) - 何回も読んでしまいました!!続編を読みたいです!続きを書いてもらえたら嬉しいです!! (2018年9月10日 7時) (レス) id: 05b75f334f (このIDを非表示/違反報告)
rooose - すごく面白くて何回も何回も最初から読み直してます(T_T)!番外編など続きが読みたいです(T_T) (2018年6月10日 9時) (レス) id: 27a91521b6 (このIDを非表示/違反報告)
アスパラ - 毎日毎日帰ってきて読むのが楽しみで仕方がなかったです!嫌なことがあっても、この作品を読んでいつもキュンキュンしていて、嫌なことも忘れていました!本当にありがとうございま (2018年4月23日 21時) (レス) id: f7957228ff (このIDを非表示/違反報告)
山田華怜 - すごく面白かったです!! 3日で全部読みました(笑) できれば続編作ってほしいですっ (2018年4月3日 13時) (レス) id: 64fbe7ebd3 (このIDを非表示/違反報告)
のん - できればの話なんですか、式の事とか、新婚生活の話などを読みたいです!続編希望します!! (2018年3月29日 21時) (レス) id: 3788a9712e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あすみ | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/0059_asumin
作成日時:2018年3月11日 10時