そのはち。 ページ8
母は芽衣の両肩に手を乗せたまま、立て続けに言う。
「どこか寄り道してたの?いつもなら怒るけど、今日だけ特別、……許してあげるわ」
なぜ?と芽衣が目で訴えると、母はそれを理解して、
「だって寄り道せずに帰って早く家に着いていたら、今頃芽衣は火事に巻き込まれてたかもしれないじゃない!」
本当によかったわ、と涙ながらにほほ笑む母をよそに、芽衣はその言葉にハッとした。
不意に気配を感じ、振りかえる。
そこにあったのは、地に横たわる一体の人形。
「あ、あの人形……」
芽衣が驚いたように声を震わせると、母が少し歩いて薄汚いフランス人形を拾った。
「これね、芽衣のおばあちゃんが生前、ずっと大事にしてたらしいわよ。お父さんに聞いたの。……知ってる?死んだ人の魂が、その人が大事にしてた物に乗り移ることがあるんだって。おばあちゃんも火事が怖くて、納屋から逃げてきたのかしら」
うふふ、と母が笑う隣で、芽衣は心が揺さぶられるような感覚を感じていた。
ずっと芽衣を監視していたあのフランス人形は、死んだ祖母だったのだろうか。
ずっと自分を見ていたまなざしも、自分を追いかけてきた足も、芽衣を守るために――……?
「おばあちゃん……――?」
芽衣は母から人形を受け取ると、そっと両腕で包み込んで、さらさらの金髪を撫でる。
「今まで怖がってごめんねおばあちゃん。ありがとう」
芽衣は涙で視界をゆがませながら微笑んだ。
人形も芽衣の腕の中で、心なしか優しく微笑んでいるように見えた。
母も芽衣のその姿を見て少しほほ笑んでから、視線を落としてつぶやく。
「でも変ね……だれもいない家に火がつくだなんて――――」
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退屈な日常。(プロフ) - 途中で泣いてしまった...っ(´;ω;`) 文才分けてくださ(( (2014年10月1日 18時) (レス) id: 62c9b4f07d (このIDを非表示/違反報告)
8927(プロフ) - 文章力ヤバイですね!思わず引き込まれてしまいました。最後はハッピーエンド(?)でよかったです! (2014年7月2日 22時) (レス) id: 7fc28f0c24 (このIDを非表示/違反報告)
まーさん(プロフ) - ペンタブでしたかっそうですよねっ、ペンタブなら上手な方ですよ!(笑)イラストのうまさでカバーできてますw (2014年6月10日 22時) (レス) id: ae5c5ba8de (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - いおんさん» 絵がうますぎですっ((((;゚Д゚))))神ですねっっヽ(゚∀。)ノ (2014年6月10日 19時) (レス) id: d2f212b3a4 (このIDを非表示/違反報告)
妙子(プロフ) - お人形がおばあちゃんで守ってくれてたって終わり方が好きです♪素敵なホラーありがとうございます☆ (2014年6月10日 9時) (レス) id: 30085790ce (このIDを非表示/違反報告)
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