▼ 別れ道 - 後編 ‐ 大宮 ▼ ページ19
▼Nside▼
どこからか、春の風が吹く。
僕の走る足を絡みとり、もっともっと早く走りたいのに。
春の風と匂いが、僕の目頭を熱くする。
.
「さと、し…っ」
.
愛する人の名前を呼んでも、貴方は見つからない。
春は嫌いだ、新しいコトがいくつも重なってそれは僕の不安へとつながる。
.
「どこ…？」
.
智が行きそうな場所。
潤君のカフェ、相葉さんの幼稚園。
海が見える丘に僕と智の母校と、小さな林の中。
.
「どこ、ッ？」
.
混乱してグチャグチャな頭の中から必死に探し当てる。
どこ、どこ…？
焦りと不安が僕を追い詰める。
額から流れる汗を拭って鼻の下を抑える。
こうしてなきゃ、今すぐにでも泣いてまた翔ちゃんのもとへ行きたくなる。
.
「…あ」
.
…そう、だ。
あそこだ、きっと…。
僕と智がはじめて出会った場所。
大きな桜の木があっていつも春になったらお花見に来ていた。
…まあ、今年の春は智はとなりにいないけど。
白々しく笑って僕はまた駆けだした。
たくさんの風景が、僕の視界に入る。
…智とのたくさんの思い出を思いだす。
喧嘩して一週間口をきかなかった日、あれは今となっては良い思い出。
初めてキスをした相手も初めて肌を重ねた相手も智。
思い出は数え切れないほどある。
毎日が、大切な思い出となった。
智といれば、僕は満足だったから。
…だから？
僕が、前を向いてくれないのを想って…？
智がとなりにいたら、僕は智しか愛せなくなるから…？
智は、僕にもっと”世界”を見てほしかったの…？
.
「智ッ…」
.
―――…目の前で、桜の木を描いている智に問いかける。
智は、まだ蕾の桜の木を愛おしそうに見つめて…。
僕に視線を移した後も、その顔は変わらない。
.
「僕、分かったよ。智の、気持ち」
「…和…」
「智、好きだよっ」
.
……僕は笑顔で言った。智の瞳に、僕の笑顔は焼き付けられたかな？
一生、忘れないような笑顔を向けて。
僕は、智の驚いた顔に振り返って駆けだした。
智がとなりにいないのはやっぱり寂しい。
だけど、人を愛する気持ちを知れたならそれで良、い―――…
.
.
「…え？」
.
世界が止まったのかと思った。
グン、と後ろにひかれた僕の体は温かい…そう愛する智の胸の中で。
.
「…迎え、行くから」
「！」
「…和を、必ず迎えに行く」
.
…別れ道は必ず繋がっている。
その言葉を信じて、僕は今…前を向く。
.
▼end▼
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亜莉沙 - ちょー面白い！！心がふわふわぽかぽかする感じが大好きです(*´ω｀*)1話だけでもすごくまとまってて、読みやすくて本当に、本当にサイコーです！！言葉で表せないぐらい(´ω`)これからも更新頑張って下さい(^^♪ (2012年11月19日 22時) (
レス) id: f29802d8b2 (このIDを非表示/違反報告)
秋田ちゃん - 初コメです！なんか、ほわほわしたすごく可愛い雰囲気の小説ですね。すごく大好きです♪嵐全員出てたやつ、ものすごく癒されました〜！あんなこと、実際起こってたら萌え萌えですよねｗこれからもがんばってください！ (2012年11月19日 21時) (レス) id: 1e8bf7458e (このIDを非表示/違反報告)
悪夢ちゃん - 朱葉さん» はじめまして、コメありがとうございますっ！ 朱葉様の、お言葉に…私が、癒されましたっ///そんな素敵な、お言葉を私がもらっても良いのでしょうか…///朱葉様の、お言葉を胸に、これからも頑張っていきますので♪応援、よろしくおねがしいますっ♪ (2012年11月18日 10時) (レス) id: caf1c29771 (このIDを非表示/違反報告)
朱葉(プロフ) - 初めまして♪どのお話も温かでかわいくて、すごーく癒されましたぁ！ひとつひとつのお話が、びんの中に詰まったｷﾗｷﾗのﾋﾞｰ玉、みたいなそんなｲﾒｰｼﾞで大好きです。これからも楽しみに待ってますね！ (2012年11月18日 2時) (レス) id: e4c7068c73 (このIDを非表示/違反報告)
悪夢ちゃん - 実愛さん» はじめまして、コメントありがとうございますっ！ わぁ、そんな褒めていただけるなんて…（照/// 実愛様、ありがとうございますっ♪ これからもがんばりますので、応援よろしくお願いします！ (2012年11月13日 17時) (レス) id: caf1c29771 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：悪夢ちゃん | 作成日時：2012年11月4日 22時
