▼ 別れ道 - 中編 - 大宮 ▼ ページ18
▼Nside▼
駆けだした先は、幼馴染の翔ちゃん家。
背中を優しく撫でて、「和、落ち着いて〜」って声をかけてくれる。
涙も拭いてくれて、…そう。
”智とは、大違い”
.
「さとっ、しがねッ…ひぃ、っく…、う゛ぅっ…別れて、ってぇ…ッ」
.
涙が溢れて止まらない。
胸が、痛いよ。
智に片思いしてた時より、もっと痛い。
両想いになれたらずっと幸せだと思ってた。
違うんだ、違うんだね……翔、ちゃん…。
.
「智くんは、和のこと心配して言ったんじゃない？」
「…？」
「…智くんさ、思ってる以上に和のコト好きなんだよ？(笑)」
「…え」
.
そういえば。
最後に智が言った、”好きだから、お別れ”…って。
どういう、意味…？
.
「翔ちゃん、智はなんで僕と別れたの？」
「…好きだから、じゃない？」
「翔ちゃん、やっぱ僕…納得いかない、よぉ、ッ…」
.
ふぇぇん、また泣いて翔ちゃんの腕に包まれる。
翔ちゃんはよしよし、と僕の頭を撫でてくれる。
翔ちゃんの優しさが傷ついた僕の心にじんわりと染みる。
.
「…和、言っていい？」
「…な、にをッ…？」
.
上から降ってきた優しい声に顔を上げた。
すると、翔ちゃんの赤い唇が僕の頬に落ちた。
いや、キスが…おちた。
.
「しょ、ちゃ…？」
「ふふっ」
.
優しく笑う翔ちゃんの顔…、じゃなくて。
翔ちゃんの唇に、視線が行く。
…え、えぇ、え…ッ！？
自分でも分かるくらいに顔が熱くなる。
なん、で？
なんで、キス…！？
.
「俺ね、和のコト好きだよ」
「…ッ！？」
「智くんのこと、納得いかないなら俺のとなりにきなよ」
「…」
「…ね、俺優しいよ？智くんみたいに、和のコト離したりしない…」
.
ギュッ、と僕を抱く腕の力が強くなった。
僕は胸が狭くなったように、胸がギュウギュウする。
いろんな感情が混じって、翔ちゃんの気持ちをまだ受け取れない。
だって……翔ちゃんは”幼馴染”だから。
ずっと一緒にいた。
智よりも、一緒にいた時間は長い。
だけど、恋愛対象として見れない。
それはきっと、翔ちゃんに対して”ありがとう”という感謝の気持ちしかないから。
ごめんなさい…。
.
「ご、めなさっ…翔ちゃんごめんッ」
「良いんだよ、俺もう傷つくの慣れてるからさ」
「そんなこと…言わないでっ。翔ちゃんっ」
.
ごめんね、そう一言言って僕はまた駆けだした。
愛する智のもとへ――…
.
▼next▼
▼ 別れ道 - 後編 ‐ 大宮 ▼→←▼ 別れ道 - 前編 - 大宮 ▼
ラッキーアイテム
革ベルト
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 42人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
亜莉沙 - ちょー面白い！！心がふわふわぽかぽかする感じが大好きです(*´ω｀*)1話だけでもすごくまとまってて、読みやすくて本当に、本当にサイコーです！！言葉で表せないぐらい(´ω`)これからも更新頑張って下さい(^^♪ (2012年11月19日 22時) (
レス) id: f29802d8b2 (このIDを非表示/違反報告)
秋田ちゃん - 初コメです！なんか、ほわほわしたすごく可愛い雰囲気の小説ですね。すごく大好きです♪嵐全員出てたやつ、ものすごく癒されました〜！あんなこと、実際起こってたら萌え萌えですよねｗこれからもがんばってください！ (2012年11月19日 21時) (レス) id: 1e8bf7458e (このIDを非表示/違反報告)
悪夢ちゃん - 朱葉さん» はじめまして、コメありがとうございますっ！ 朱葉様の、お言葉に…私が、癒されましたっ///そんな素敵な、お言葉を私がもらっても良いのでしょうか…///朱葉様の、お言葉を胸に、これからも頑張っていきますので♪応援、よろしくおねがしいますっ♪ (2012年11月18日 10時) (レス) id: caf1c29771 (このIDを非表示/違反報告)
朱葉(プロフ) - 初めまして♪どのお話も温かでかわいくて、すごーく癒されましたぁ！ひとつひとつのお話が、びんの中に詰まったｷﾗｷﾗのﾋﾞｰ玉、みたいなそんなｲﾒｰｼﾞで大好きです。これからも楽しみに待ってますね！ (2012年11月18日 2時) (レス) id: e4c7068c73 (このIDを非表示/違反報告)
悪夢ちゃん - 実愛さん» はじめまして、コメントありがとうございますっ！ わぁ、そんな褒めていただけるなんて…（照/// 実愛様、ありがとうございますっ♪ これからもがんばりますので、応援よろしくお願いします！ (2012年11月13日 17時) (レス) id: caf1c29771 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：悪夢ちゃん | 作成日時：2012年11月4日 22時
