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誰との比較とか、そんなんじゃ無しに。
脳が痺れて、膝が震える。
キスうますぎる。
立っていられなくなって思わず胸に手を置いたら、合図だったみたいに抱きしめられて、終わりがないのかってくらい長くて深い沼に沈められた。
『ほ、そく』
角度が変わる隙間に『止まって』って気持ちで名前を呼んだら、じんじんする唇を甘く噛まれて、溢れた唾液で濡れた口元を雑に拭われた。
一応、私の言葉にならない懇願を聞き入れてくれたみたいで、泣きたいくらいにほっとした。
HS「…そう安いものじゃなかったから。代金いただきましたってことで」
そんな、自嘲気味なかすれた声も出せるんだ？
プレゼントの代金って何なの？
てかほんとに皆がみんなって、私はどんだけ魔性の女なんですか？
ホソクに問い詰めたいこと山ほどあるけど、でも今何か迂闊なこと言ったら…そこからホソクが何か始めてしまいそうで言えない。
私の緊張を感じたのか、そっと足を忍ばせて私から離れたホソクが、ふふって笑って。
HS「俺が作ったリング、受け入れてもらえてめちゃくちゃ嬉しすぎてはしゃいじゃったな。ごめんね」
HS「Aヌナは普段、隙がないのにさ。だめだよフラフラしたら」
HS「さっさとその指に、ジミンがくれるリングした方がいいよ」
HS「持っててくれるだけで嬉しいけど、身につけてくれるってんならこれもあげるね」
そう言って、ポケットから細身のチェーンネックレスを私の手に押し付けて、にこって。
それ、
さっき私に「復縁おめでとう」って言った、
いつものホソクの笑顔のだけどさ。
今は私、何も返事ができないよ。
HS「じゃあまた、会社でね」
ホソクが黙ったままの私の背中を押して、部屋を追い出してくれて心底ほっとした。
今回のあれやこれやに、ホソクは口説いてくるって言うよりジミンと付き合う前に戻ったみたいに、ただじゃれてくるだけだったから。
正直、ホソクは違うのかと思ってた。
思いがけない本気を思い知らされて…頭がパニックになってる。
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作者名：フネ55
| 作成日時：2024年1月18日 22時
