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以前の私はこんなこと、会社の稼ぎ頭で珠玉のアイドルのジミンに、言うことなんかできなかった。
だって私はただ彼らが売れない頃から側にいただけの、運がいいマネージャーで。
彼らとの親密度も無償の信頼も、全部当たり前だったからこそ…裏切れないって。
ジミンが私のことを思ってくれるのは嬉しいけど、それに私の方から応えるのは会社を、ファンを、裏切ることだったから。
でもそんな受け身なだけの私を、ジミンがどれだけ不安で思い詰めてたか。
だからこその、この結果でしょう?
しっかりしろ、って手をぎゅっと握って、声を張る。
『私、五歳も年上だから、ジミンよりも先におばちゃんになるし。ジミンが結婚できる状況になった時に、ひょっとしたらおばあちゃんになってるかもしれないけど』
ジミンに愛され続ける自信がなくて、ごめん。
私でいいよって言ってくれてたのに、信じられなくてごめん。
『できる限り、可愛いおばあちゃんでいる努力をするから』
『いつか、その時になったら』
『私と結婚してください』
ゼリー片手に。
私、なんてプロポーズしてんだろ。
ジミンはお風呂上がりの濡れ髪の、よれよれしたホームウェアだし。
笑っちゃうけど、しょうがないね。
私は普通の一般人で、ドラマみたいなかっこいい展開が常に用意されてるわけじゃない。
それでも誠心誠意、今まで伝えられなかった分の重さを込めて告白したから、あとはジミンの返事を待つばかり。
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作者名:フネ55 | 作成日時:2024年1月18日 22時