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S「A」
は、っと顔を上げると、デスクに座ったセジンさんが私をまっすぐ見てた。
S「…一泊二日なら、行ってもいいぞ」
『は…?』
馬鹿みたいに問い返したら、すいっと目をそらされて、頬をポリポリかきながら
S「チャーターだから、乗れるだろ。明日一緒に行って、明後日帰ってくるなら。仕事できそうならしても良いし、有給余りまくってんだろうから休みでも良い」
随分と長文で耳を疑うようなこと。
…私今、ものすごく都合が良くて、ものすごく気遣われた優しいこと言われてない?
ぽかんとしてる私に、セジンさんは明後日の方向見ながら話を進めてく。
S「さっきテヒョンが来て、お前とジミンに話をさせろって言ってきた。あいつ…ほんと時々勝手言ってくるよな」
『テヒョンが…?』
S「明日からツアーで、どこで話すんだって言ったら、あいつ「そんならヌナも行きゃいいじゃん」って、思わずげんこつ落としたけどな」
その様子が目に浮かぶようで、気が抜けた。
私、テヒョンにチキン、あと追加でピザと…コーラも好きなだけ…
体重増えない程度で、ごっそり贈らないといけないみたい。
『あー、その…行きたいです。ちょっとちゃんと、させたいから』
正直に返事をしたら、
S「うん。お前らのゴタゴタが長引いてるの、困るから。きっちりはっきりさせてこい」
ちょっとちゃんとじゃなくて、きっちりはっきりとか。
厳しいけど、「ぐずぐずしないでしゃんとしろ」って言われてるみたいで背筋が伸びた。
私は勢いよく立ち上がって、一度深呼吸をしてからゆっくりとセジンさんに頭を下げて、お腹から声を出した。
『私事にご配慮いただき、ありがとうございます。お言葉に甘える形になってしまいますが、明日から2日、お休みいただきます』
S「うん」
端的な、セジンさんの返事。
S「良い報告、待ってるよ」
ちょっ…優しい励まし、不意打ち過ぎる。
下げた頭、上げらんなくなるから泣かせないで欲しい。
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作者名:フネ55 | 作成日時:2024年1月18日 22時