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TH「一番の馬鹿は、ヌナなんだな」
背中にこつっと当たった鼻をすりすりと擦り付けられての呆れ混じりのその声は、私を優しく慰めて、背中を押すようだった。
ほんとだよ。
ジミンが私を忘れてからやっと本気で、
ジミンしか欲しくないって思ってるんだから。
確かに、一番馬鹿なのは、私。
『私がんばるよ、テヒョン』
何をなのかは、今ちょっと説明しがたいけど。
テヒョンと話したら何故か…何かをがんばれる気がした。
ぐっと両手を握って宣言したら、テヒョンは私の背中を押して立ち上がって…地べたに座ってる私を冷たく見下ろしたあと、
TH「そうだね?そろそろこの、ドタバタしたやつ終わらせてもらおうかな?
…眼の前に美味しい餌ずっとぶら下げられてる気分で、落ち着かないんだよ」
そう言うと冷たいくせに熱っぽい、不思議な瞳でじっとり睨みつけられて、
TH「その内、本能的にパクっといっちゃうかもしんないから」
厳かに、宣言するように…脅された。
壮絶に色っぽくて美しかったけど、私はそのパクッといかれるやつの意味を察して鳥肌が。
咄嗟に緊張感を散らそうとして、
『…今度、チキンデリバリーするから、そっちにして?』
て、愛想笑いでまぜっ返した。
テヒョンは、フン、って鼻を鳴らして顎つんした後、
TH「今度じゃなくて明日にして」
て約束させた後、私を置き去りにしてのそのそ控室を出ていった。
テヒョンて時々、野生味強くて怖いんだよね。
そう思いつつ指摘はすごく的を得ていて。
確かに、宙ぶらりんの私達のせいで、みんなすごく落ち着かないでいるの、わかってる。
いつまでも状況に甘えてらんないし、さっきのジミンとテヒョンと向き合ったことで、私はなぜか気持ちがスッキリ軽くなってたから。
携帯を取り出して、カトクのジミンにメッセージを一つ。
『話がしたいんだけど、時間ある?』
さっきのキスのこと、ってのは伏せたけど、きっとジミンはこのメッセージ見たら青ざめて飛び上がるんだろうなって思う。
やらかしたって思ってるだろうから。
それでもいいよ、今は。
やらかしたことの言い訳でもなんでも、時間とってくれるなら聞いてあげる。
それから、全部終わらせよう。
この馬鹿馬鹿しくて滑稽な、私達の恋を。
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作者名:フネ55 | 作成日時:2024年1月18日 22時