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ぎゅ、って握られた手のひらが痛いくらいで、はっとしてうつむいてた顔をジミンの方に向けたら、
JM「その人も、ヌナと真剣に結婚を考えたんなら、きっと後悔してる」
真剣な顔して、私を優しい目で見てた。
一瞬、記憶が戻ったのかと思ったけど、
JM「ヌナがそんなに好きになった人で、ヌナを好きになるような…アー、男らしくて?かっこよくて優しい人…なら」
…そんなこと言うってことは、戻ってない…
気分の乱高下がジェットコースター並だって。
私のがっかりをどう受け取ったのかわからないけど、ジミンは私を励ますようにぎゅっぎゅって手を握って、優しい目のまま微笑んでくれて。
JM「その人もきっと、ヌナを悲しませるつもりはなくて、ほんとに、ただ喜ばせたいって思ったんだって」
JM「自分のこと以外でがんじがらめのヌナだけど、それでも…何があっても一緒にいるって、ヌナに証明したかったんだと思う」
JM「俺がその人だったら…って言ったら変だけどさ。今のヌナにプロポーズしたらヌナが困るかもってこと、気付かなかったのが馬鹿なんだって」
JM「だからこんな風にこじれるくらいなら…できるなら、ヌナにプロポーズする前に」
JM「ヌナと楽しく過ごせてた時に、
時間を巻き戻したいって、
そう思うと思うよ」
気持ちを乗せたジェットコースターが、三回転宙返りしたあと空まで私を放り投げた。
目が覚めたような、
目の前がクリアに開けたような、
謎が全部解けたような。
ジミン。
だからなの?
記憶を無くすほど、傷付いたんじゃなくて?
やりなおしたかったから?
私は思わず笑ってしまって、それからあんまり苦しくなって…
胸から先に悲しみに潰れて、涙は後からついてくること、あるんだね。
苦しくて痛すぎる胸から搾り出すように、どろっと目から溢れた感情が頬を濡らすけど、私はもう止めることなんかできなかった。
ジミンはどこまでもジミンで。
優しくて、意志が強くて男らしいよ。
でも本当に馬鹿。
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作者名:フネ55 | 作成日時:2024年1月18日 22時