忘れな草と高嶺の花【JM】 (ページ15)

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◆ ページ15

後出しジャンケン的な気持ちってこんな感じ？

それともユンギが背中だけで言ってるから、そんな軽めの発言なら聞き流して良いって判断してもいいのかな？

いいよね？

『まじな話をしてもいいとは一言も許可してないから、今の言葉は無効ですね。私は何も聞いてない。そんな、今すぐ会社をやめるべきって言葉は、ただの一般人が受け止めるには重すぎましたので…』

では、この話はここまでで、って立ち上がりかけた私を、ユンギはくるっと椅子を回して私の方向き直ると、まあまあ、となだめるような手の動きで止めた。

YG「慌てなさんな。最後まで聞け。あんたがそういうキャラなの知ってたから、今まで誰もアクションしなかったんじゃない？年上のお姉さんに憧れるのは男の性だよ。あんたはおあつらえ向きに、シンボルとしてはこの上なく最高のお姉さんだったし」

『はっ？…え？』

初めて聞く、私への評価に寝耳に水どころか顔から火を噴きそうになる。

『何？誰に憧れ？最高のお姉さん？』

私が？って思うけど、ユンギは至って真面目な顔。

嘘付くならもっとふざけた顔するのわかってるから、余計に焦って変な汗がにじむ。

YG「自覚が無いのも良かったね。あんたほんとに恋愛方面鈍感だし、俺たちのこと「弟」にしか見てなかったろ？だからどんだけアプローチしても見向きもされないのって、逆に冷静になってくじゃん。「これが高嶺の花なのか」ってさ」

ユンギの口調は淡々として、多分自分の恋心を語ってるんだと思うし、その対象が私なんだってこともわかるのに、全然熱を感じなかった。

『待ってよ。高嶺の花はあなた達でしょ？なんで私の方なの』

ほんとにわからなくて首を傾げて、ついでに思いっきり眉寄せて聞いたのに、ユンギはまた、フンって笑って。

YG「俺等が何者でもなかった頃から、あんたずっと最前線でがんばってんじゃん。俺たちを引っ張って、持ち上げて、手が届かないとこまで乗せてって」

ゆっくり持ち上がった手が、私の方に差し伸べられた。

YG「引っ張り上げられるってことは、その上にいるんだよ」

頬を撫でるような手のひらの形が、少しずつ開かれて、届かないものに手を伸ばすように伸ばされて。

それでも、私とユンギの間はそれなりに距離があったみたいで、ユンギの指は私には届かなかった。