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そのままぎゅうっと真正面から抱きしめられて、とっさに胸を押したけど力じゃ全然敵わない。
『ちよっと、あっ、テヒョン!それは許してませんけど…っ、うっ、んんんっ』
TH「それってどれ?これ?」
ふざけた口調で背中に腕を回されてぎゅうぎゅう締めてくるから、肺が押されて言葉が上手く形にならない。
TH「何?わかんないよマネヌナ?それってこれもだめってこと?」
低い声が喉でくつくつ笑いながら。
その手が、私のウエストからお尻にすっと落ちた。
ちょ、まじで後で覚えてなさいよ…!?
てかあの、馬鹿テヒョン触り方がいやらしい…っ
JM「テヒョン!!」
私が悲鳴をあげるより先に、ジミンが叫んだ。
明らかに怒ってて、責める口調で。
ぴりっと空気がひりついて、その場にいる全員が私たちを見てるの、わかってるけど私は今テヒョンの締め付けで、何も言えないしできませんから。
テヒョンはジミンにフンって鼻で笑って、なんとかもがこうとしてる私を軽々と腕の中に閉じ込めて、頬ずりするように頬くっつけて来たから、その耳元に
『やりすぎ…!!あと苦しい!!!』
って訴えたのに、無視された。
背中にジミンの熱くて鋭い視線が突き刺さってるのが、わかる。
誤解だって、違うよって弁解したい気持ちで一杯なのは、もちろん私が絶賛ジミンを好きだから。
だから、だめだったのに。
だから私だけはこのままで、いたいのに。
誰かに喚いて罵りたい。
私たちを、ほっといて。
私をこのまま、
ジミンの何でもない人間のままで、
いさせて。
TH「…何?ジミナ。お前も参戦すんの?エントリーは自由だよ〜。ヌナも別にいいよね?」
テヒョンがわかりやすく煽るから、自分のあんまり切なすぎる思考とのギャップが酷くて気が抜けて、私はどーにでもなーぁれーと軽く笑ってしまった。
TH「ヌナは、縛られない恋愛がしたいんだって。未来とか良いから、今が楽しい恋がしたいって」
んなこと一言も言ってませんけどぉ、って脱力した首をがくんとテヒョンの肩に押し付けた。
TH「そんなの俺らにとっても都合良いよね?ヌナかわいいし、優しいし、素敵な女の子なんだもん」
TH「俺たちだって、ヌナが欲しいよ」
耳元の言葉は、微かに囁くような声だった。
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作者名:フネ55 | 作成日時:2024年1月18日 22時