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カランコロン___
翌日、朝からシフトが入っていた為
少し早めにポアロに来た。
ケーキの新作を考えようかなと思って。
ベルの音を鳴らして中へ入ると
エプロンを付けている安室さんが。
朝からイケメン過ぎて眩しいわ、と思いながら
まだ開店の四時間前なのに早すぎないか、と考える。
「おはようございます、安室さん。早いですね。」
「ああ、おはようございます。Aさんこそ。」
目の前で微笑むイケメンが私の彼氏なのかと思うと頬が緩む。
遂に私にも春か。ずっと片想いし続けて良かったぜ。
「今日はね、ケーキの新作を考えようと思って。」
「それなら僕も手伝いますよ。」
そんなやり取りをして、ケーキを作り始める。
私なんかより断然手際の良い安室さんを見て
ハイスペックだぁ、と聞こえないように呟く。
「安室さん、絶対いい奥さんになりますね…。」
「奥さん……。」
「嫁いで貰いたいくらい。」
何気なく口にした言葉だったが
隣で手を動かしていた彼は動きを止めた。
「旦那さん、だったらいいですよ。」
「……ん??」
なんだなんだ?
すっごーくプロポーズめいた言葉が聞こえたぞー?
私たち、付き合って二日目だぞー?
冗談では無いけれど軽く言った事に
意外な返しが来て混乱する。
ということで、何もなかったかの様に話を変えるという答えを叩き出した。
「今回は柚子をベースに作ろうと思うんです!」
「いいですね!」
「柚子ってなんか可愛いですよね、真ん丸で。私、好きなんです。」
「僕はAさんが可愛いですよ。笑顔が好きです。」
おーおーおー。
私、こんなの知らないんですけど。
柚子の話から可愛いなんて言われると思ってもいなかった私は
戸惑って、口を結び少しうつ向く。
と、褐色の顔が近付いてきて、唇に柔らかいものが当たった。
何が起きたのか分からずに、フリーズしたまま空色の瞳を見つめる。
「そうやって、耳まで赤くなるところも___」
好きです。
唇を耳に当たりそうな位に寄せて囁く安室さん。
吐息が当たって、もっと上気する耳を両手で押さえて慌てて離れた。
そんな私の姿を、色っぽく口を弧にして見てくる。
ほんとにこんなの知らない。
聞いてないよ、安室さんがこんなに甘々なんて。
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