#11 ページ13
ただただ普通の日々が流れていった。
今日のバイトは人が少なくて退屈だし
今隣で洗い物をしている透さんの事は、未だひとつも分かった事が無い。
はぁと頬杖を付きながら息を吐くのと同時に、扉のベルが軽快に鳴る。
「Aちゃーん!久しぶり!」
「園子ちゃんと蘭ちゃん…!」
可愛い笑顔で入ってきた二人に、顔を明るくさせてカウンター席を勧める。
園子ちゃんとは久しぶりに会ったので、悩みも吹き飛んでしまう。
きゃいきゃいと話していると、園子ちゃんが話題を放り込んだ。
「そういえばAちゃん。明後日って空いてる?」
「明後日?日曜日だね。えぇっと…。」
その質問に頭の中でシュケジュールを思い出す。
日曜日はバイトも授業も無かった筈。
「空いてる、ちょー空いてる!」
「なら、パーティー来ない?次朗吉おじ様が主催なんだけど。」
「私もコナン君も行くんです!」
急なお誘いとパーティーという単語に少しわくわくする。
コナンくんも行くんだ…。
そりゃあ行くっきゃないでしょ。
しかしパーティーとは…鈴木財閥恐るべしだな。
ぴちぴちの女子高生に私が加わっていいのかしら。
そんな事を思うけど、答えは決まっていた。
「行く行く!やったぁ!パーティーとか初めてだよ。」
「僕もご一緒させて貰ってもよろしいですか?」
「え。」
「安室さん!勿論よ!」
いつの間にか洗い物を済ませ、隣に居た透さんの声にびっくりする。
え、あ、行くんだ。
一緒にパーティーとか、なんか嬉しいな。
そう透さんの横顔を見ると、綺麗な笑顔を浮かべていた。
かっこいいなぁなんて思っていると、大変な事に気が付いた。
「どうしよう、園子ちゃん…。私ドレスなんて持って無いよ。ファッションセンス皆無だし。」
「安室さんに選んで貰ったらいいじゃない。」
「それいい!どうですか、安室さん。」
蘭ちゃんが透さんに目線を向ける。
待って待って。
それって、一緒に買い物行って試着とか見られるって事だよね?
死んじゃう。恥ずかしすぎて。
断ってくれ!透さん、断れ!!
「そのつもりでしたよ。明日にでも行きましょうか、Aさん。」
願いは伝わらず、透さんはにこにこ。
ていうか、え?
そのつもりだったって言った??
まじかよ。
断る事なんて出来ないから
はい、と小さく呟いた。
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