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「それにしても、なんで深」
「"辰哉くん"」
「た、辰哉くんは、僕のことそんなに知ってるんですか？」
先輩から開放された僕は、先程彼が座っていた椅子に座ると疑問に思っていたことを投げかける。
"辰哉くん"呼びはずっとするんですね...。
「なんでだろうねー？」
彼は僕の質問にまともに答えるつもりはないらしい。
へへっと笑うと僕の隣に座ってきた。
「ふざけないで真面目に」
「逆に聞くけどさ、Aは俺らの事どこまで知ってるの？」
そう言うとニコニコと僕を見つめてくる先輩。
なんだろうこの笑顔の違和感。
貼り付けたような笑顔で彼の本心が見えない。
「どこまでって...」
本当のことを言ってもいいのだろうか？
でもこれからS会を解散させようとしてるのに、その当事者である彼に今掴んだ情報を話す訳には...
見つめてくる彼の目を見返すことが出来ず俯いてしまう。
「ねぇ、A...。早くおもい」
彼の寂しそうな声はどこからが聞こえるスマホの着信音に遮られる。
「僕...じゃないよね」
僕の荷物は全て教室に置いてある。
もちろんスマホも教室に置いてきてしまっていた。
つまり...
「ったく...タイミング悪ぃ〜」
どうやら彼のスマホがなっていたようだ。
なり続けるスマホの画面を見ると面倒くさそうな表情をする彼。
「ま、今度デートでもしながらゆっくり話そーねっAちゃん」
バッと立ち上がるとウインクをしてきた先輩は僕の返事を待たずに更衣室から出ていってしまった。
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作者名：塩おにぎり | 作成日時：2023年4月16日 16時
