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「ジャージ、俺のじゃ少し大きかったね...。でも、可愛い。女の子かと思った。」
彼の右手が僕のジャージのチャックにかかる。
そのままゆっくりと下ろされ、ジャージの前が開いていく。
何この状況！！
女の子ならここで堕ちてるのかもしれない！
でも僕男ね！！
こうなったら...
「れっきとした男です。悪かったですね女みたいで…」
なんか、色々バレてるみたいだし変に嘘つかなくてもいいよね？
"言いふらすつもりは無い"と言っていた彼の言葉を鵜呑みにするのはどうかと思うが、この状況だから仕方ない。
この人よく見たらイケメンだし、なんかこの甘ったるい雰囲気になれない僕は嫌味混じり呟き、顔をふいっと背ける。
「そもそも、男子トイレになんの躊躇いもなく入る女子がいる訳ないじゃないですか」
「そうかな？でも、そんな可愛い見た目してるんだから少しは危機感持った方がいいんじゃない？さっきもだけど、今もこうやって...」
僕もそろそろ自分の見た目が女子な事を忘れないようにしないと、色々めんどくさい事になりそうだな。
彼の右手が今度は僕の頬に添えられ、彼の方に無理やり向けさせられる。
彼の熱い眼差しから目が逸らせない。
そんな彼の左腕は僕の腰にまわり、グイッと引き寄せられた。
「ちょっと...深澤先輩っ。さ、さっきのは友達が大変な目にあってると思ったらつい...」
離れようと必死にもがくがビクともしない彼の腕。
「"辰哉くん"って呼んでくれたら離してあげてもいいよ？」
そう言うと彼は鼻先どうしが触れ合う距離まで顔を近づけてきた。
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作者名：塩おにぎり | 作成日時：2023年4月16日 16時
