登校4日目・懐かしい香り ページ45
なんでバレた？
僕が男子だと分かっているのはじーじが信頼している先生達数人、こーじくん、目黒くん、ラウールくん。
先生達にはじーじから他人へ口外することを禁止されているし、彼ら3人も作戦上僕が男子だということを言わないようにお願いしている。
どこから情報が漏れた？
「そんな難しそうな顔すんなって！手伝うなんてうそうそっ！早く着替えておいで？」
難しい顔で考え込んでいたのか、僕の顔を見て笑う先輩は手をヒラヒラと振りながら離れカーテンを閉めた。
一旦深呼吸をしよう。
落ち着け...
よく考えればわかるかもしれない。
借りたジャージに着替えつつ脳はフル回転。
しかし、よく考えても答えは見つからなかった。
彼のジャージに着替えると、懐かしい香りに包まれる。
洗剤？柔軟剤？
いや、先程彼に抱えられた時にふわりと香った匂いと同じだから香水だろうか？
この香りどこかで嗅いだことある気がするんだよな...
やっぱり考えても何も出てこないので諦めた。
「あの...ジャージ貸してもらってありがとうございます...。明日洗って返しますので名前を...」
カーテンを開ける。
目の前の椅子に座りスマホをいじっている先輩に声をかけるとこちらに目線を向けてきた。
「俺、深澤辰哉。クラスは3-J。君は...天使A...いや。白雪Aが本名だよね？」
彼の発言に体が強ばる。
なんでその事まで...
「安心して、この事別に言いふらすつもりは無いから。」
ニコニコと微笑みながら僕にじわりじわりと近づいてくる先輩。
「ちょっ、深澤先輩...」
壁に追い詰められ後は無い。
目の前の彼は逃がさないと言わんばかりに僕の顔の横に両手をつき、ずいっと顔を近づけてきた。
何この壁ドンデジャヴ...。
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作者名：塩おにぎり | 作成日時：2023年4月16日 16時
