登校4日目・男子トイレ ページ40
「ここ！たまたま通りかかったら中から結構大きめなうめき声が聞こえてきて..様子を伺ってたんだけど、なんか殴られてるみたいな音も聞こえてきて...」
彼女が向かった先は、体育館横の男子トイレ。
目の前の彼女はよっぽど怖かったのか顔を両手で覆い肩を震わせていた。
例のサッカー部員の先輩たちは、昨日喧嘩してる所を見られたと思って場所を変えた？
そこで大人しくやめとけばいいものを...
許せない。
「分かった、危ないからここにいて。」
「うんっ...」
まだ中に先輩たちが居るかもしれない。
彼女に危険があってはいけないと思った僕は、トイレの前で彼女を待機させることにした。
僕一人なら何とかなるだろうし...。
恐る恐る中に足を踏み入れる。
シーンと静まり返っているということは、先輩たちはいない？
てことは、急いで目黒くんを助け出さないと！
「目黒くん！大丈夫？！」
思い切ってトイレの中に入ると、そこに目黒くんの姿はなかった。
もう避難したのかな？
きょろきょろと当たりを見渡すが、彼の姿もないし...
ん？おかしいな...
だんだん冷静になってきた脳でゆっくりと考えると、おかしなことがいくつかあった。
争った形跡のない男子トイレ内。
トイレの外から呻き声だけで目黒くんだと言い切った彼女。
そんな彼女は急いで駆けつけた雰囲気を出しているものの、額には一滴の汗もなく、息が上がった様子はなかった。
そもそも、なぜ先生や男子生徒に声をかけずに僕に声をかけてきたのだろうか。
「何かがおかしい...」
「何がおかしいってー？」
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作者名：塩おにぎり | 作成日時：2023年4月16日 16時
