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「そんな顔じゃ練習戻れないね」
彼のぐしゃぐしゃになった顔を見てあははと笑う。
「誰のせいで…」
目元を腕でグイッと拭い睨んでくる目黒くん。
「あとさっきの天使さんの言葉。康二くんやラウールのこと守りたいってのはあってるけど…」
そう言うと僕の両手を彼の大きな手で包まれる。
「俺は、天使さんのこともずっと守り続けたいって思ってるから。」
真剣な眼差しで僕を見つめてくる彼。
その言葉にぶわっと顔が熱くなるのがわかった。
「な、なんか…プロポーズみたい…」
恥ずかしくなり、ボソッとつぶやき俯いてしまう。
「……いやっ、俺っそういうつもりじゃっ…えっ？はずっ…」
数秒後、彼のオドオドとした声が聞こえてきた。
自分が何を言ったのかやっと理解したようだ。
「……でも、目黒くんのそういう真っ直ぐなところに僕は惹かれたのかもな」
まだオドオドと焦っている目黒くんの目を見つめ微笑む。
友達思いで、一生懸命で、何事にも真っ直ぐで、クールな見た目に反して実は熱くて、でもちょっとお馬鹿で…
「僕やっぱ目黒くんのこと好きだなっ」
「ちょっ、まって…」
僕の言葉にみるみる顔が赤くなる彼。
手で顔を覆い、目をそらされてしまう。
「あと、僕には…僕らには目黒くんは必要だから！今度もし何かあったら、僕じゃなくてもいい。誰かに相談すること！いい？」
そらされてしまった顔を両手で挟み込みぐいっと僕の方を向かせると、真剣な眼差しで僕の思いを伝える。
僕と見つめ合う彼の瞳には、また光るものがあった。
「ふーん…なんか妬いちゃうなぁ〜」
その様子を影で見つめる1人の生徒。
その様子をいつから眺めていたのか、僕らは知らない。
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作者名：塩おにぎり | 作成日時：2023年4月16日 16時
