登校3日目・彼の守りたいもの ページ31
「なんで隠してたの…」
僕は最近仲良くなったから相談しにくかったのかもしれないけど、こーじくんやラウールくんには相談できなかったの？
「言えるわけないじゃん。相談したら、こうやって絶対に関わってくるでしょ？」
「当たり前じゃん。だって僕ら友達じゃないの？」
それはそうだろう。
大切な友達がこんな目にあってるならどうにかしたいのが友達なんじゃないの？
「大切な、大事な友達だから関わらせたくなかったんだ！」
勢いよく僕と向き合った彼の瞳に大粒の雫が溜まっていた。
「あいつら3人はS会メンバー。S会メンバーに目をつけられたやつは酷い目にあったり、退学させられたり、ろくな目に遭わないんだよ！」
僕の両肩を掴み訴えてくる彼。
目にためた大粒の雫がぼとりぼとりと落ちる。
「そんな目にあうのは俺一人で十分なんだよ…」
そのままがくりと地面に両膝をつき項垂れる。
「俺馬鹿だからいい解決策なんて思いつかないけど、俺一人がじっと黙って耐えてればどうにかなるって…そう思って…」
「そうだね、目黒くんは本当に馬鹿だよ。」
項垂れた彼を見下ろし冷静に呟く。
彼は涙でぐしゃぐしゃになった顔で僕を見上げてきた。
「ほんと、大馬鹿者だよ…。」
僕も地面に両膝をつき、彼を包み込むように抱きしめる。
「目黒くんが向井くんやラウールくんを守りたい気持ちと同じで、僕らも目黒くんを守りたいの。」
えぐえぐと嗚咽混じりに泣く彼の頭をヨシヨシと撫でる。
「目黒くんの馬鹿正直で真っ直ぐなところは尊敬するし大好きだけど…」
少し体を離して彼と目を合わせる。
「僕らにも、目黒くんのこと守らせて？」
未だにこぼれ続ける彼の涙を親指で拭い微笑む。
彼は声を押えながら頷いてくれた。
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作者名：塩おにぎり | 作成日時：2023年4月16日 16時
