登校3日目・1-C ページ19
1-Cの教室の前に着く。
教室にかけてある時計を見ると、ホームルームの時間が迫っていた。
慌てて2人を探す。
「あれ？あまちゃんどしたん？」
今来たのか、こーじくんが僕の背後から声をかけてきた。
「あ、こーじくん！おはよう！目黒くんとこーじくんにお弁当渡しとこうと思って…」
左手に持っていたオレンジ色の風呂敷に包まれた弁当をこーじくんに渡す。
「おはよ！おっ、ありがとうなぁ！めぐの席は…」
差し出されたお弁当を受け取ると満面の笑みをうかべる彼。
その後、目黒くんを呼ぼうと教室をキョロキョロしているもののなかなか見つけきれないようだ。
「あれー？おかしいなぁ…いつもなら登校してすぐ自分の席で寝てるんやけどなぁ…」
顎に手を当てうーんと唸るこーじくん。
「あれ？2人ともどうしたの？」
「うわぁあああ！ってめぐ！どこおったん！」
背後から探していた彼の声が聞こえる。
大袈裟に驚くこーじくんの声に耳がやられそうになりながらも、その声の持ち主の方へと向いた。
「朝練してた。試合近いし。」
そう言って微笑む彼だが、なんだろう…なんか不自然というかなんというか…
「そっか！あ、これ。一緒に食べれなくても、食べれるタイミングあったら食べてよ！お弁当箱は帰りにでも靴箱入れててもらったらいいし！」
気のせいかな？
とりあえず今ゆっくりと話している暇は無いので、要件だけ伝え黒い風呂敷に包まれたお弁当を目黒くんに渡す。
「え？ありがとう！洗って返さなくて大丈夫？」
それを受け取ると、不安そうに僕に尋ねてくる。
「大丈夫！また明日も作ってくる予定だし、そのまま返してもらった方がこっちとしてはありがたい！」
明日返されたら明日の分作って来れなくなるしね！
「そっか…わざわざありがとう！」
「ほんま、ありがとうなぁ！」
2人はニコニコと笑ってくれる。
作ったの僕じゃないけど、なんだか嬉しくなった。
「もうホームルーム始まるし戻るね！目黒くんは練習頑張って！こーじくんはまたお昼あおうね！」
2人に手を振り僕は自分の教室へと戻った。
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作者名：塩おにぎり | 作成日時：2023年4月16日 16時
