〈 02 〉 ページ13
*02*
降谷さんの手は、いつだって温かい。
初めて出会った、あの時も…
浴槽で倒れてしまった、あの時も…
頬をつねった、あの手も…
***
「…安室さん」
「詳しくは言えないが、そういう事だ。」
今日は日曜日。
そして初めて降谷さんと外へ出かける日。
(…と言っても午後から警視庁に用があるらしい)
私の部屋に置くベッドを買うため、近くの家具屋さんへ行く。
3日ぐらい前だけど、
『ベッドがほしい?』
『…はい』
『落ち着かないんじゃないのか?』
『……実は、ちょっと憧れてて』
『……』
事の経緯はそんな感じ。
降谷さんが忙しい事は承知済みで…
でも気持ちかなりワクワクしながら出かける準備をしていると、
例の「安室さん」が発覚した。
細かい事は話してくれなかったけど、
降谷さんのお仕事は警察の中でもちょっと特殊で厄介らしい。
一先ず、外にいる時は「降谷さん」ではなく、「安室さん」なんだな。
「わかりました。"安室さん"ですね。」
「…随分と物分かりが良いんだな」
「え?」
「いや、別に。」
「?」
それよりも、早くベッドが見たい。
「わぁ…!」
生まれて初めて入った、東都の家具屋さん。
広い空間に家庭用品がたくさん揃っていて、
ここ数年で1番感動した(かもしれない)。
「ふるっ、あ、安室さん…」
「クスッ…何だ?」
まだ慣れない私の「安室さん」呼びに対して、降谷さんはクスリと優しく笑った。
「安室さん安室さん…」
「呪文みたいに言うのやめてくれ」
「呪文って(笑)」
「「…!!」」
端から見たら、何てことない瞬間。
でも、ちょっと特殊な私達からしたらそれは大きな進歩で…
「「((笑ってる…))」」
こうやって、ちゃんとお互いの顔を見て笑ったのが
お互いが、お互いの笑顔をちゃんと見たのが、
初めてだった。
「……ベッドどこですかね」
「あぁ、店員に聞いてみるか」
……あたたかい。
「こんなにたくさん…」
「…悪いが30分で頼む」
「わかってますよ」
正直どれが良いとかなかった。
ベッド自体初めての私からしたら、どれもフカフカで、気持ち良さそうで…
降谷さんに負担をかけないように、あの1番安くて小さいのにしようかな…
「私これが「やっぱり安室さんだ〜!」
「「!?」」
そこに現れたのは、
どこか見覚えのある2人の女の子だった。
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juno108(プロフ) - とっても面白いです!続きがすごく気になります! (2020年5月20日 13時) (レス) id: 73960369a7 (このIDを非表示/違反報告)
さち - おもしろかったです。続きが早く読みたいです。よろしくお願いします。 (2019年2月11日 21時) (レス) id: 70b86fd223 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴこ | 作成日時:2019年1月13日 2時