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〈 03 〉 ページ11

*03*



(降谷side)








何も身につけていない状態で、


身体半分はシャワーに打たれながら


Aはぐったりとしていた。






「A!」






何て事だ…


1番最悪な予感が的中してしまったのか…?






「名前を呼ぶと…言っただろう…!」






自 殺を試みたのか、今の体勢ではよくわからない。


一先ず耳障りなシャワーを止め、彼女を自分の方へ抱き寄せた。








「Aっ!」







一向に、彼女は目を覚まさない。


……が、手首にもどこにも、外傷は見られない。









「A!…A!」







それでも、いくら名前を呼んでも、


その瞳が開かれることはない。








「Aっ「…くん」





「えっ?」





「れ…い…くん」









" 令くん "




古川令の事か…








もしかすると、


夢の中で、会いに行っているのかもしれないな。








「ダメだ…」








抱き寄せる手に、力が入った。




透き通るほど白く、だが細すぎる肩や腕は

これまでの惨い生活を物語っていた。



服で隠していたであろういくつもの箇所に、

痛々しい痣が見てとれた。







「彼の所へ行ってはダメだ…!」







その壊れそうな身体は、


時間が経つごとに体温を奪われていく。







「生きろ、A!」

「!!」






固く閉じていた瞼が、少しずつ開かれた。









.









.









.









彼女の疾患は、急激な環境の変化に弱いらしい。






「私、浴槽で倒れたんですね…」

「本当に焦ったよ。」





あの後すぐに寝間着に着替えをさせ、

やや半乾きの彼女の髪をドライヤーで流す。




……美容師にでもなった気分だ。






「ごめんなさい、心配かけて。」

「無傷なら何だっていいさ。」

「……」





シャワーの次に今度は、ドライヤーの風音が静まり返った部屋に響く。


人の髪を乾かす機会に遭遇しないため、力加減がよくわからない。






それにしても、綺麗な髪だ。




その細い髪が、暖風に吹かれる度なびいた。







「なぁ、A」

「…はい?」

「恥ずかしい、とか思わないのか?」

「…え?」





案の定、彼女はキョトンとした。


……やはり。






「何でもないよ」

「…?」






年頃の女の子が、裸を見られたというのに








"恥じらい"



"異性への意識"







思春期の女子なら誰もが経験する感情を、


この子はまだ、知らなかった。

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juno108(プロフ) - とっても面白いです!続きがすごく気になります! (2020年5月20日 13時) (レス) id: 73960369a7 (このIDを非表示/違反報告)
さち - おもしろかったです。続きが早く読みたいです。よろしくお願いします。 (2019年2月11日 21時) (レス) id: 70b86fd223 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぴこ | 作成日時:2019年1月13日 2時

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