〈 05 〉 ページ25
*05*
私が降谷さんの家で保護されて、ちょうど1ヶ月の日が経った。
「奥村さん、どうぞ中へ。」
「はい。」
何もかもが一変したあの日から、ちょうど…
「順調に回復傾向にありますね。ここ最近で、特に変わった事などはありましたか?」
「変わった事…」
因みに今日は、病院で月1の検診の日。(ハロくんみたい…)
病院は病院という括りも、ここは警察病院。
当然、私が「奥村A」である事や、
降谷さんの事も、少なくとも担当のお医者さんは知っている。
「変わった…」
「例えば…フラッシュバックを起こしたり」
「あ、それは大丈夫です。」
私がそう言うと、お医者さんは顔を綻ばせた。
「後はやはり、根本的な事かな。
何事のない、普通の日常に慣れる事が第一です。
過去の経験上、どうしてもネガティブ思考になりがちですからね…」
「はぁ…」
「恐らくAさんの場合、元が謙虚でとても優しい人物なんですね。
しかし我慢のし過ぎも、若い子にとっては良くないんです。」
「我慢…」
「少しずつで良いですから、普通の生活に慣れていきましょう。」
「…はい。ありがとうございました。」
"普通の生活"……かぁ
「……」
「あぁ、いた…」
「?」
診察室から出て、迎えに来ると言われた警察の人を待っていると、
見覚えのある人が現れた。
「風見…さん?」
「覚えていてくれたんだね」
「はい…」
風見さん。
彼の名前は覚えていた。
たまに降谷さんの話に出てくるし、
何より、あの日最初に声をかけてきたのは、彼だから。
「あ、送ってくれる警察の人って…」
「はは…偶々空き時間だったから。」
「そうなんですね(笑)」
そのまま私は警察病院を出て、風見さんの車の助手席に乗せてもらった。
「ありがとうございます。」
「…うん(笑)」
「?」
今の、笑うポイントあった?
「降谷さんが言ってたよ」
「え?」
「君はよくお礼を言う子だって。」
「へ??」
そんな事、降谷さんから聞いた事なかったから驚いた。
「あの降谷さんが、君の話になると別人みたいに優しく笑うから…つい思い出したんだ。」
"あの"降谷さんとは…
まぁ、別人演じるの上手い事は知っている。
「よっぽどオアシスなんだろうな、君との生活が。」
「…!」
それは私の方なのに…
でも、
「だったら、嬉しいです。」
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juno108(プロフ) - とっても面白いです!続きがすごく気になります! (2020年5月20日 13時) (レス) id: 73960369a7 (このIDを非表示/違反報告)
さち - おもしろかったです。続きが早く読みたいです。よろしくお願いします。 (2019年2月11日 21時) (レス) id: 70b86fd223 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴこ | 作成日時:2019年1月13日 2時