FILE.288 業火の向日葵 ページ13
＜そんな話をずっと父から聞かされてきた。やがて兄は画商に、俺は修復家になり、父の死後も俺達は”芦屋のひまわり”を探し続けた。その絵を祖父から受け取った、使用人の言葉だけを頼りに＞
「使用人の言葉？」
＜GHQの没収から逃れるため、贋作を装ってヨーロッパに逃亡させたと言っていたそうだ＞
「まさか！？わしが落札した＜ひまわり＞は・・・・」
『「”芦屋のひまわり”・・・・・」』
＜ああ。俺達兄弟はとうとう見つけ出したんだ。アルルの古民家の屋根裏部屋に、ひっそりと置かれていた＜ひまわり＞を。
だが、長年探し続けていた＜ひまわり＞が見つかったことにより、兄は心変わりしてしまった。”＜ひまわり＞はゴッホが愛したアルルの地に置いておくべきだ。さもなくば、この場で亡きものとする”とまで・・・・祖父と父の願いを裏切るようなことを言いだした兄を、俺は許せなかった。
口論となり、揉み合っているうちに、護身用の銃が暴発し、俺は兄を誤って・・・・＞
No side
銃弾は、幸一の胸元に向けて発射され、胸元が真っ赤に染まる。血の広がる胸をギュッと掴みながら、ドアを開けて、よろよろしながら外に出る。
「兄さん・・・・お、俺・・・・」
「・・・逃げろ」
「えっ！？」
銃を持つ反対の手をボンネットにつきながら歩き、荒い息をして胸元を掴みながら、向日葵畑に入っていく。
「兄さん！！」
「お前は逃げろ・・・！」
「でも―――」
「行くんだ！！」
幸二は首を振ると、運転席に回り込んで、すぐに車を発進させた。幸一は向日葵畑で崩れるように倒れ、持っていた銃をゆっくりと太陽にかざし、引き金を引いた。
向日葵畑に一発の銃声が響き渡った瞬間だった。
Aside
＜そして・・・”日本に憧れた向日葵展”のことを知った俺は、学芸員として参加。お陰で”芦屋のひまわり”が、日本に戻ってくる瞬間を見ることが出来た。祖父の代からの願いは叶った・・・だからこの展覧会が終わったら、出頭しようと思っていた。少し早いが・・・・・＞
「わかった。今、警視庁のヘリががこっち向かっている。自首するんだな？」
松田の言葉に東さんは、＜ああ。もちろんだ＞と小さく頷いた。
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セカイ(プロフ) - ちゃごいずごっどさん» コメントありがとうございます！更新がんばります！ (2月7日 21時) (
レス) @page46 id: 220b9e6626 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃごいずごっど - 本当にとても素敵な作品でどんどん読み進めてました😭😭終始幸せな気持ちでいられます、、！！これからも無理のない範囲で更新頑張って下さい！！応援しています✨✨ (2月4日 20時) (レス) id: 9d6e955330 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：セカイ | 作成日時：2024年1月17日 0時
