FILE.186 天空の難破船 ページ7
松田side
船体が水平に戻り、宙吊り状態から解放され息をついた。
「オメェら大丈夫か」
「はい、何とか」
「ちょっとビックリしただけだ」
「ヤツらはどうした!?」
「そこで伸びてるよ」
中森が周囲を見渡しだすと、顎でクイッと2人をさした。
「さっきの急上昇の時に、壁で激突してたよ。自業自得ってヤツだな」
「・・・・・俺達は縛られてて助かったワケか」
すると、犬が入口を向いて吠えた。何事かと思って入口を見ると、キッドがラウンジに入ってきた。
「いやぁ、驚きました。ホールまで様子を見に来たら、いきなり床が傾くんですから」
「おのれ、キッド!!」
キッドは喚く中森の横を余裕の表情で通り過ぎると、何故か俺に近付いてきた。
「Aとボウズは?」
「彼女とボウヤなら無事ですよ。もうじきここに来るでしょう」
キッドは俺のロープだけを解くと、「じゃあ、皆さんのロープも解いてやってください」と言って、戻っていく。
「待てェ!キッド!こらー!!」
「もちろん、警部のロープは最後でよろしく」
吠える中森を指差すと、倒れている男のバッグから
「では皆さん。お約束通り、お宝はいただいて参ります」
丁寧にお辞儀をすると、悠然とラウンジを出ていく。
「待て!逃げるなキッド!」
「おのれ、コソ泥め!」
中森とジイさんが叫ぶと、キッドは軽く振り返り「怪盗ですよ!」と微笑んだ。
やがて飛行船はベル・ツリータワーに到着し、屋上から伸びた係留等に繋がれた。また犯人グループ達は、全員逮捕されたという報告が入った。
飛行船ではディナーが用意され、乗客が次々とダイニングへ入る。だが、Aの姿が見当たらなかった。
「オイ、Aどこに行ったか知らねーか」
「ボクとラウンジに戻って来たところまでは一緒だったけど、その後は見てないよ?」
「黒羽刑事なら、エレベーターで上に行ってましたよ?」
ボウズとの会話を聞いていたのか、Aが蘭ちゃんと呼んでいるヤツが口を挟んできた。
「キッドがどうのこうのって・・・・」
「何・・・・・?」
妙な胸騒ぎがして、俺はすぐにダイニングを飛び出した。
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セカイ(プロフ) - soraさん» コメントとリクエストありがとうございます!「裏切りのホワイトデー」ですが、確かに二人だったらどうなる展開になるのか私も楽しみです。いつか書けたら書こうと思います。 (1月12日 22時) (レス) id: 220b9e6626 (このIDを非表示/違反報告)
セカイ(プロフ) - シンヤさん» コメントありがとうございます!励みになります! (1月12日 22時) (レス) id: 220b9e6626 (このIDを非表示/違反報告)
sora(プロフ) - いつも更新ありがとうございます!!いつも楽しませてもらってます!!リクエスト書いていいか分からなかったんですけど《裏切りのホワイトデー》をこの話で見てみたいです!!いつもありがとうございます!更新頑張ってください!! (5月21日 16時) (レス) @page46 id: 246c6fd1e1 (このIDを非表示/違反報告)
シンヤ(プロフ) - 毎日更新して下さりありがとうございます🙏🙏毎日とても楽しく読んでいます🥰🥰ありがとうございます🙏🙏いつも素敵な話ありがとうございます🙏🙏続きとても楽しみにしています🥰🥰 (5月10日 0時) (レス) id: 42d6be6a70 (このIDを非表示/違反報告)
セカイ(プロフ) - シンヤさん» コメントありがとうございます!修学旅行篇は事件メインになってしまったので絡みが少なかったのですが、これからは絡み増し増しになる予定ですので、楽しみにしていてください! (2023年5月8日 23時) (レス) @page8 id: 220b9e6626 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セカイ | 作成日時:2023年4月29日 0時