捜査一課の黒羽さん 5【名探偵コナン】

FILE.210 ページ31

『何か悲しい事件だったね・・・・』

「ああ・・・・」


京都府警に身柄を拘束され、連行されていく阿賀田さんの様子を見守る。綾小路警部に会釈されてこっちも会釈をすると、京都府警達は去っていった。


しばらくすると、辺りには観光客や修学旅行生たちで溢れ、以前と変わらない光景となった。工藤くん達も仲間のもとへと戻っていく。そういえば修学旅行だって蘭ちゃんが言ってたな。




「・・・・んで、この後どうするよ？」

『・・・あ、そうだね』



松田に言われて思い出した。事件で忘れてたけど、わたし達も旅行に来ていたんだった。バッグからガイドブックを取り出して『まだ行ってないところでも行く？』と尋ねると、「いや・・・・」と呟いた。


「ちょっと、行きてェところがあるんだけど・・・・・」















バスを乗り継ぎ大分遠いところまでやって来た。


『ここって・・・・・』

「北野天満宮だ」

『北野天満宮って、学問の神様の菅原道真が祀られるっていう・・・・・』

「行くぞ」

『あ、待ってよ！』




松田の後に続いて境内の中へ足を踏み入れる。修学旅行生もチラホラと見受けられたが、そんなに混んではいなかった。

本殿でお参りをした後、おみくじを見つけて引いてみた。


ち、中吉か・・・・・まずまずってところね・・・・と思いつつ、恋愛のところを見る。


”この人となら幸福あり”




チラッと松田を見ると、目があってしまった。

「何だよ」

『な、何でもない』


そんなことを言いつつも自然と口角が上がってしまう。このままでいいんだと、背中を押されたような感覚になり、とても心地良い気分になった。


そんな感覚に浸っていると、「オーイ、戻ってこーい」と言われた。

「何ニヤニヤしてんだよ」

『ニヤニヤなんてしてない！』


せっかく人が内容を確認してるのに・・・・と、思いながらおみくじをカバンにしまう。何でもおみくじは、結んでも結ばなくてもどちらもいいらしい。せっかくだし持って帰ろうと決めた。







境内の中を巡り終わり、『この後は？』と尋ねると「こっち」と指差した。

『そっちに何かあるの？』

「・・・まあな。で、ちょっと目ェつぶってくんね？」

『・・・・何かする気じゃないでしょうね』


さっと身を引くと「あのなァ・・・」と呆れた目を向けられた。

「別に何もしねェよ。いいから閉じろ。ぜってー開けんじゃねェぞ」

『はいはい』




そして手をひかれて歩き出した。

FILE.211→←FILE.209　紅の修学旅行

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す