捜査一課の黒羽さん 5【名探偵コナン】

FILE.183　天空の難破船 ページ4

松田side


「・・ったく、何なんだよ」

ウェイトレスの両手両足の紐を切って猿轡を外し、ラウンジに戻ってAについて考えた。


俺は残してボウズは連れて行くのかよ。Aが何考えているのか、ぜんっぜんわからねェ。一人で突っ走して行動して・・・・・・あ〜〜〜〜〜〜〜クッソ、イライラする。

やりきれない思いを胸に、頭をグシャグシャにかきむしる。



しかも連絡しておけって何を連絡しておくんだ？と思いつつ、目暮に連絡を入れる。


＜松田くんかね！丁度いいところだ。ハイジャックグループの正体がわかったぞ＞

「そうなんスか」

＜海外で傭兵経験のあるメンバーだそうだ＞

「じゃあ、”赤いシャム猫”っていうのは・・・」

＜全く関係ない。ヤツらがテロ組織を騙ったのは、仏像窃盗をカモフラージュするため。そして今回、連中を金で雇ったのが・・・・・


藤岡隆道という男だ＞



まさか・・・Aのヤツ！



すると突然背後から「動くな！」と声がした。







Aside


―――その頃


『部下を置いて一人で逃げようとだなんて、卑怯じゃない？』

飛行船の屋根に上ったわたし達は、藤岡さんと対峙していた。


「・・・・・よく俺の正体を見抜いたな」

「いや、アンタが最初の感染者を装ったことで、すっかり騙されちまったよ。恐らく離陸してすぐ、あのウェイトレスに扮した女の部下が喫煙室にうるしの液を撒き、アンプルを置いたんだろう。もちろん、アンタの指示でな。その後、アンタは喫煙室に入って、わざとうるしにかぶれた。細菌に感染したように、俺達に信じ込ませるために」

『蘭ちゃんの腕を掴んだのも邪魔になりそうな人物を感染者にして動きを出来なくするため。私の場合そうはいかなかったんでしょうけど。水川さんとウェイトレスさんの発疹は、掌や腕の後ろ側。喫煙室で何かに触れたんでしょうね。反対に元太くんは喫煙室を覗いただけで何も触らなかったから、発疹が出なかった。

つまり、あなただけなのよ。何かに触れにくい、顔や喉にまで発疹が出たのは』


わたし達の推理を黙って聞いている藤岡さんの顔や首には、未だかぶれの症状がハッキリと出ている。


『それに、リーダーは絶えず誰かと電話していたようだし。だからわかったのよ。あなたが喫煙室に吹き付けられたうるしを身体中に塗り付けて発疹を作り、細菌感染をあおって自らを隔離させ、誰にも見られないところでテログループに指示を出していた黒幕ってことがね！！』

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