FILE.208 紅の修学旅行 ページ29
だが、ここまで追い詰めても犯行を認めようとはしなかった。
「な、何言ってんだよ!?見ただろ!?馬山は自分でこの柵を乗り越えようとしてたじゃないか!!きっとアイツも何かに取り憑かれて――――」
「いーや。付いているんは、赤い足跡が描いたある、この透明な静電気付箋だけや。この上に床板と同じ色塗った付箋重ねたら、足跡隠せるやろなァ・・・・」
服部くんはそう言いながら、床板にある静電気付箋を手に取った。
「アンタがその付箋に細っそいテグス付けて一枚一枚めくったから、馬山さんには血ィの足跡が迫って来るみたいに見えたっちゅうことか・・・」
「それに加えて、馬山さんだけに恐ろしい声を聞かせれば、必死で逃げようとするのも無理はない・・・・」
工藤くんは近くに隠してあったスピーカーを手に取り、再生ボタンを押した。スピーカーからは”許さない・・・”と聞こえてくる。
『まあ、その付箋もこのスピーカーもジサツ騒ぎに乗じて回収するつもりだったでしょうから、あなたの指紋が付いてるはずでしょうね』
全てのトリックを見破られた阿賀田さんは、「クソッ!」と吐き捨てて逃げ出す。しかし、周りにいた学生に取り囲まれて、銃口を突き付けられていた。
「スンマセンなァ・・・・あんさんを警戒させへんために、京都府警は昔来てた学生服で修学旅行生のフリをしてくれって頼まれしもて・・・・」
「そ、そんな・・・・・クソッ・・クソォ・・・・」
逃げ場を失った阿賀田さんは、涙を流しながら床を叩いた。
何故遺体にコブを付けたのかを問いただすと、鞍知さんが撮影中に転んでコブを作ったのを見て取り入れたらしい。
「動機はやっぱり、出栗ってヤツの名前がスタッフロールになかったことか?」
「出栗が試写室でしばらく呆然としてたことを、打ち上げ会場にいたアイツらに伝えたら・・・・・
”そうか!そんなに驚いてたか!!”
”やったな!”
”大成功だ!!”
って笑いながら言ったんだ!!」
『でも、それって手違いだったんですよね?』
「僕もそう思って後でスタッフに確認したら戸惑ってたよ・・・確かにスタッフロールを修正したけど、誰かの名前を削ったんじゃなく、文字の間隔を直しただけだって・・・・だからアイツらは、最初から出栗の名前を入れるつもりはさらさらなくて、ただ嘲笑うために出栗を初号試写に呼んだんだ!!」
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セカイ(プロフ) - soraさん» コメントとリクエストありがとうございます!「裏切りのホワイトデー」ですが、確かに二人だったらどうなる展開になるのか私も楽しみです。いつか書けたら書こうと思います。 (1月12日 22時) (レス) id: 220b9e6626 (このIDを非表示/違反報告)
セカイ(プロフ) - シンヤさん» コメントありがとうございます!励みになります! (1月12日 22時) (レス) id: 220b9e6626 (このIDを非表示/違反報告)
sora(プロフ) - いつも更新ありがとうございます!!いつも楽しませてもらってます!!リクエスト書いていいか分からなかったんですけど《裏切りのホワイトデー》をこの話で見てみたいです!!いつもありがとうございます!更新頑張ってください!! (5月21日 16時) (レス) @page46 id: 246c6fd1e1 (このIDを非表示/違反報告)
シンヤ(プロフ) - 毎日更新して下さりありがとうございます🙏🙏毎日とても楽しく読んでいます🥰🥰ありがとうございます🙏🙏いつも素敵な話ありがとうございます🙏🙏続きとても楽しみにしています🥰🥰 (5月10日 0時) (レス) id: 42d6be6a70 (このIDを非表示/違反報告)
セカイ(プロフ) - シンヤさん» コメントありがとうございます!修学旅行篇は事件メインになってしまったので絡みが少なかったのですが、これからは絡み増し増しになる予定ですので、楽しみにしていてください! (2023年5月8日 23時) (レス) @page8 id: 220b9e6626 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セカイ | 作成日時:2023年4月29日 0時