捜査一課の黒羽さん 3【名探偵コナン】

FILE.108　ハロウィンの花嫁 ページ27

松田side


―――同時刻


人通りの少ない路地に停めた移動販売車を装ったワゴン車から、Aと周りの様子を防犯カメラで確認していた。車内前方のモニターには、防犯カメラを見上げるAの姿があった。







そして、ジャック・オ・ランタンの格好をした集団がAの周囲に集まり、いきなり菓子をばら撒き始める。

「何だこれ？」

「ハロウィンのイベントか？」

「ハロウィンのイベントだと！？聞いてないぞ！早くやめさせろ！」



注視してモニターを見ていると、集団の一人がAに近付いて、何やらやり始めた。モニターの映像は、ジャック・オ・ランタンだらけになり、どれがAになのかわからなくなった。


尾行には公安の捜査員を使うとかほざいてたくせに、人が多すぎて近付けないとか言っている声がする。



「ったく！！！」

「ま、待て！」

我慢ができなくなった俺は、風見の制止も聞かずワゴン車から飛び出した。









人々が去ったミヤシタパークのエントランス付近には、踏まれて粉々になったお菓子が落ちていた。集団を捕まえて事情を訊くと、アルバイトでイベントに協力してくれと言われたらしい。

「お金をはずむから、少しの間だけ協力をしてくれって・・・・」

「松田警部補」

風見がAを尾行していたヤツらを引き連れて、手の中に壊れた発信機を見せてきた。


「黒羽警部補がつけていたものだ」


言い終わるのと同時に、拳を握りしめて一発、風見の頬にうちこんだ。

「警察犬を連れてきて、匂いを追跡する。文句は言わせねェ」


返事も聞かず、俺は歩き出した。




どうしようもない怒りを拳に秘めて。

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